服薬は不健康なことなのか?
こんにちは。
障害者転職エージェント「ハッピー」の山口です。
現代では、「健康的な生活」を追求するライフスタイルが注目され、オーガニック食材やナチュラル志向、飲酒や喫煙を避ける生活スタイルが増えています。SNSやメディアでも「ナチュラルな食生活」をテーマにした情報が多く、健康的であることが「良い」とされがちです。しかし、服薬が必要な状況にある方々、たとえば障害がある方にとって、薬を服用することが「不健康」とみなされるのは適切でしょうか?
今回は、そんな服薬に対する考え方や、その意義について深掘りしてみたいと思います。
服薬が必要な理由とその価値
薬を服用することは、健康を損ねる行為ではなく、むしろ健康を維持し、生活の質(QOL)を高めるための重要な選択肢です。特に障害や慢性疾患を抱える方々にとって、服薬は日常生活を支え、安定した日々を保つためのサポートツールとなります。たとえば、抗うつ薬や抗不安薬は、精神障害を抱える方が安定した生活を送るために欠かせない存在です。また、発達障害のある方には、集中力や感情のコントロールを補助する薬が役立つことがあります。こうした薬は「不健康な選択」ではなく、心身のバランスを整え、日常を穏やかに過ごすための「サポートツール」として位置付けられるべきといえます。
薬は、私たちが普段から自然に取り入れているメガネやコンタクトレンズのように、生活を支えるための道具のひとつにすぎません。視力を補正するためにメガネを使用するように、薬もまた体や心の健康を維持するための「補助具」として捉えられるでしょう。ちなみに、日本では約8割の方が視力矯正を行っているともいわれています。一方で、「薬を飲まないことが理想的」という考えも根強く存在しています。確かに、薬の過剰摂取や不必要な服薬が健康に悪影響を及ぼす可能性はあります。しかし、必要な薬を適切に服用することで得られる安定した生活の重要性は、見過ごせない要素です。オーストラリアのある末期がん患者が「長く生きることよりも、後悔しない日々を送ることが大切だ」と語った言葉があります。服薬が必要な方々にとって、未来の健康や長寿を追求するだけでなく、「いま」を快適に過ごすための手段として服薬を前向きに活用することは、とても大切な考え方です。
服薬とライフスタイルの共存
服薬が必要な状況でも、健康的で心地よい生活を追求することは十分に可能です。薬はあくまで健康維持をサポートするものであり、決してライフスタイルを損なうものではありません。たとえば、規則正しく服薬をしながら、自然に近い食生活や適度な運動習慣を取り入れることで、体力や免疫力の維持が期待できます。また、服薬を「健康管理」の一環と捉え、薬の副作用リスクを抑えるために食事や生活習慣を工夫することも大切です。さらに、定期的に医師や専門家と相談しながら服薬内容を見直し、必要に応じて調整するのも効果的な方法です。服薬をしながらも健康的な生活を目指すことは十分に可能であり、むしろ両者のバランスがとれることで、生活の質が高まり、より高いレベルでの健康的なライフスタイルに近づけるでしょう。
健康的な生活と「長寿」のギャップ
一般的には「健康的な生活」が長寿を保証するかのように考えられがちですが、実際にはそうとは限りません。たとえオーガニック食材を選び、喫煙や飲酒を避けていても、避けられない病気や予期せぬ出来事が訪れることがあるのが現実です。人間は年齢を重ねて変化していく存在であり、どんなに健康を維持しようとしても老いや衰えを止めることはできません。健康的な生活が勧められる理由は、長生きするためではなく、日々を充実させるひとつの選択肢だからです。充実した日々を過ごすためには、服薬を健康的な生活の一部と捉え、積極的に取り入れる姿勢も大切です。日々の安定や快適さを保つために薬が役立つのであれば、それを否定する理由はありません。
自分にとっての「健康」を考える
服薬に対するネガティブな印象は、多くの場合「他人の健康観」に影響を受けています。しかし、健康の在り方は、実際に一人ひとり異なるものです。特に障害がある方は、他人の健康観に惑わされず、自分にとって本当に必要なサポートを見極めることが大切です。服薬が「不自然」や「不健康」と決めつけられるのはひとつの見方に過ぎません。自分が充実した生活を送るために必要なサポートが服薬であるならば、自信を持って選ぶべきです。日本では「こうでなければならない」という固定観念が根強く、「自然志向」や「薬を使わない生活」が一種の理想とされがちです。しかし、他人と比べることなく、自分にとって最良のサポートを見つけることが、後悔のない人生につながります。
服薬は「不健康」と決めつけられるものではなく、健康や安定した生活を支える重要なサポートです。特に障害がある方は、他人の健康観に左右されず、自分にとって本当に必要なサポートを選び、健康的な生活を積極的に築いていくことが大切です。健康的な生活を送りながらも、服薬を通じて得られる安心感や安定感を生活の一部として取り入れることで、後悔のない、あなたらしい充実した日々を過ごせるようになるでしょう。
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