2025年の障害者雇用動向に関して
こんにちは。
障害者転職エージェント「ハッピー」の山口です。
本年2025年は、障害者雇用の動向に大きな変化が予想されています。特に2026年度からは、法定障害者雇用率の引き上げが予定されており、企業や公共機関はその対応を迫られることになります。このコラムでは、2025年の障害者雇用動向に焦点を当て、雇用率の変更に加え、障害者採用の手段や今後のマーケットの展望、さらに今後ますます重要視される「定着」の課題について詳しく解説いたします。

1.雇用率引き上げの影響
2026年度から、法定障害者雇用率が一般企業では2.7%、国および地方公共団体では3.0%、教育委員会では2.9%に引き上げられることが決定しています。この変更は、障害者雇用における企業や公共機関の取り組みを根本的に見直す契機となるでしょう。特に民間企業においては、単なる雇用率の達成にとどまらず、障害者雇用を経営戦略の一部として位置づけ、長期的な成長に資する取り組みを進めることが重要です。障害者雇用は、単に社会的責任を果たすための義務ではなく、多様な視点や経験を持つ人材を活用することで、企業にとってイノベーションの原動力となり得ます。そして、多様性のある職場環境が生む新しい発想や価値観は、競争力の向上や事業の新たな可能性を切り開くカギになると考えられます。法定雇用率の引き上げは、単なる数値目標を超えた本質的な障害者雇用の進化を促す一歩と捉えるといえます。
2.障害者採用手段の多様化と進化
法定雇用率引き上げの影響を受け、障害者採用の手段がより多様化・進化すると考えられます。これまで主流であったハローワークや人材紹介会社を活用した採用に加え、企業独自の直接的な採用活動や、農園やサテライトオフィスなどの障害者雇用代行サービスの需要が一層高まるでしょう。このような環境変化の中で企業が採用活動を成功させるためには、障害特性に応じた柔軟な働き方を提供する能力が求められます。たとえば、リモートワークやフレックスタイム制の導入、有給休暇の柔軟な取得制度、時短勤務の選択肢を拡大するなど、働きやすさを実現するための工夫が必要になります。これにより、障害者が自身の強みを最大限に発揮し、職場で活躍する環境を整えることが可能になります。企業にとっては、こうした取り組みを通じて障害者雇用の「数」だけでなく「質」を高め、結果的に雇用の定着率や生産性の向上につなげることが、持続可能な成長のカギとなるのです。

3.障害者と企業の相互努力の重要性
障害者雇用を成功させるためには、企業の支援体制だけでなく、障害者自身の意欲や主体的な行動も不可欠です。どれほど優れた支援や環境を整備しても、本人の努力や成長への意欲がなければ、長期的な就労やキャリアの発展は難しいでしょう。雇用とは、企業と従業員が相互に協力して築き上げるものです。障害のある方も、企業に依存するのではなく、自分自身の成長を常に意識し、セルフスターターとして主体的に行動する姿勢が求められます。たとえば、自分のスキルや特性を理解し、それを活かせる職場での役割を見つける努力や、スキルアップのための学習を続けることが挙げられます。こうした行動は、自身のキャリア形成だけでなく、企業にとっても貴重な存在となる道を切り開きます。企業と障害者が互いに歩み寄り、成長を目指す関係を築くことで、より良い職場環境と高い生産性が実現します。このような相互努力の積み重ねが、障害者雇用を本質的に成功させ、双方にとって持続可能な未来を築く基盤となるのです。
4.精神・発達障害および知的障害の雇用機会増加
2025年以降、特に精神障害、発達障害、そして知的障害を持つ方々の雇用機会が拡大すると予測されています。法定雇用率の引き上げや採用手段の多様化に伴い、企業はこれまで以上に幅広い障害を持つ方々の雇用に取り組む必要があります。特に支援制度の整備が進む中で、精神障害や発達障害を持つ方々も、適切なサポートのもとで自身の力を発揮できる環境が増えていくでしょう。こうした整備により、障害のある方が選べる職業の幅が広がり、従来の固定観念を超えて、より多様なキャリアの可能性が見いだせる時代が到来しています。企業にとっても、単なる雇用義務を超え、個々の能力を最大限に引き出す場を提供することがますます求められるといえます。身体に障害がある方については、引き続き安定した職業選択の機会が存在して、年齢を重ねても比較的売り手市場にあり、今後も重要な役割を果たすことが期待されています。

5.「定着」重視の時代へ
今後、障害者雇用において最も重要なテーマのひとつは「定着」です。単に法定雇用率を達成するだけでなく、障害のある方が職場で長期的に活躍できる環境づくりが、企業の競争力を大きく左右する要因となるでしょう。少子高齢化による労働人口の減少が進む中で、優秀な障害者は貴重な労働力としての価値がますます高まっています。企業は、単に採用するだけでなく、障害のある方が長く働き続けられる仕組みを整えることが不可欠といえます。定着を促進するためには、従来のサポートを超えた新たな施策が必要です。たとえば、デジタルツールを活用したメンタルケアによる心のサポートや、リモートワークや柔軟な勤務体制の導入、セルフペース型の学習やスキル向上プログラムの提供などが挙げられます。こうした環境を整えることで、障害のある方が無理なくスキルを伸ばし、業務に集中できる体制を作ることが重要です。
さらに、障害のある従業員に「この職場で働くことで成長できる」「安心して長く働ける」といった所属メリットを提供することは、エンゲージメントの向上にも直結します。エンゲージメントが高まれば、従業員は企業に対する信頼感や貢献意欲を持ち、結果的に生産性や職場全体の雰囲気も向上します。個々のニーズに応じた支援を行うことで、障害のある従業員が持つ潜在能力を最大限に引き出すだけでなく、彼らのモチベーションを維持・向上させることも可能となります。企業がこのような取り組みを実現することは、単に社会的責任を果たすだけでなく、働きやすい職場づくりを通じて企業全体の競争力を強化する重要な戦略となるでしょう。

まとめ:DE&Iの進展と障害者雇用の未来
2025年以降、法定雇用率の引き上げを背景に、障害者雇用は質の向上が求められる新たな時代に突入します。精神障害、発達障害、知的障害を持つ方々の雇用機会が増加する一方で、企業は「定着」を支援する体制を早急に整える責任を負っています。多様な障害特性に対応した柔軟な雇用戦略を取り入れ、長期的な成長を目指すことが、これからの組織づくりにおける最重要課題のひとつとなるでしょう。また、日本が直面している労働人口の減少という社会的課題において、障害者手帳をお持ちの方々が労働力の大きな支えとなる可能性が注目されています。多様な才能や視点を持つ障害者の方々が労働市場に参加し、その力を発揮することは、単なる「補完」ではなく、日本社会の未来を支える「救世主」としての役割を果たすことになります。
一方で、障害を持つ方々自身も、無理をせず自分に合ったペースでスキルを伸ばし、着実に自己成長を意識していくことが大切です。企業の支援だけに頼るのではなく、自らの力で一歩一歩進む意欲が、豊かなキャリアを築く礎となります。些細な努力の積み重ねが、いつか大きな成果となり、自分らしい生き方を実現する力となるのです。
DE&I(多様性、公平性、包括性)の進展に伴い、障害者雇用はもはや「義務」ではなく、企業と個人が共に成長し、持続可能な未来を目指すための「希望の基盤」となりつつあります。障害のある方々が持つ多様な視点や可能性を、企業が真摯に受け止め、支援することで、個々のキャリアだけでなく、組織全体の競争力を大きく高めることができます。そしてその取り組みが、日本の社会全体にとっても新たな活力となり、より明るい未来を切り開くカギとなることを確信しております。
これからのあなたの無限大のキャリアの可能性を広げるために、私たち「障害者転職エージェントハッピー」と共にぜひ歩んでいきましょう。
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