障害者雇用での「守破離」
こんにちは。
障害者転職エージェント「ハッピー」の山口です。

「守破離」は、もともと武道や芸道で使われてきた言葉で、学びや成長のプロセスを3つの段階に分けたものです。最初の「守」は、基本を忠実に守る段階で、師匠や指導者の教えをしっかり学び、その型を守ることが重視されます。次の「破」は、基本を習得した上で自分なりの工夫を加え、型を破る段階です。そして最後の「離」では、学んだ基礎から離れ、独自のスタイルを確立し、自分自身の道を歩む段階です。
この「守破離」の考え方は、障害者雇用におけるキャリア形成にも大いに役立ちます。まず、「守」の段階では、これまで培ってきたスキルや経験に目を向け、できることに集中することが重要です。障害を負ったことで、以前のようにできなくなったこともあるかもしれませんが、その分、できることにフォーカスすることで新たな強みを発揮できる場面が出てくるでしょう。特に、障害者手帳を取得することで、自分の限界を理解し、その中でどのように力を発揮するかを学ぶことが大切です。
また、障害者手帳を取得したことで見えてくる新たな人生もあります。確かに、障害者手帳を取得することで、物理的にも精神的にも制約を感じることが増えるかもしれません。仕事においても、以前はできていたことが難しくなったり、選択肢が狭まったりすることがあるでしょう。しかし、できることに特化し、それを深めることで得られるメリットも多くあります。たとえば、得意分野に集中することで専門性を高め、特定の分野で深く貢献できるスキルを習得するきっかけになります。また、制約があるからこそ効率的に仕事を進めたり、新たな視点で問題解決に取り組む力が養われることもあります。

もちろん、障害者手帳を取得することで、一度は人生の進路に悩むこともあるでしょう。しかし、この手帳は単なる制約ではなく、新たな方向性や可能性を見出すための羅針盤にもなります。できないことに目を向けるのではなく、できることを見極め、それを磨いていくことで、充実したキャリアを築くことができるのです。
さらに、障害者手帳を取得することで、「人生の時間は限られている」ということや「生きていることが当たり前ではない」という現実を否応なく実感する瞬間が増えるかもしれません。手帳を取得した時点で自分の身体や心の限界を感じ、その事実を受け止めることは決して容易なことではないでしょう。
しかし、そのような体験を通じて多くの人が人生の終盤になってようやく気づく「生きることの尊さ」に、手帳を持つことで通常より先駆けて気づけるのです。これは本当にプライスレスのかけがえの無い経験であり、人生の大きな財産となります。日々の生活の中で健康のありがたみを再認識し、限られた時間の中で何を優先すべきかを考える機会が増えることで、人生そのものの質が高まるのです。障害者手帳を取得するという経験は、これからの人生をより豊かで意義深いものに変える、まさに大きな転機となるでしょう。そして障害を持つことは、人生に新しい色を加え、その尊さや一瞬一瞬の価値を再認識させてくれる機会でもあります。

さて、ここで「守破離」の精神について再び振り返ってみましょう。
キャリア形成においても、「守破離」の考え方は障害者雇用における強力なツールとなります。まず、「守」の段階では自分の強みやこれまでの経験に目を向け、それを活かせる仕事に焦点を当てることが重要です。基礎を確立し、自分に無理のない形でキャリアをスタートさせるためには、まずは得意分野を活かし、少しずつ成功体験を積み重ねていくことが求められます。ここで大切なことは、焦らず基礎をしっかり固めることです。繰り返しになりますが、この期間は成果を出している方や目標としている方の一挙手一投足を真似ることが、あなたの仕事となります。
次の「破」の段階は、これまでの学びや経験を基盤に、自分自身の創意工夫や独自性を加え、キャリアを新たな次元へと広げていくフェーズです。この段階では、型にはまらない柔軟な発想と、自ら課題を見つけて解決する積極的な姿勢が求められます。これまで習得したスキルや知識を単に繰り返すのではなく、それらを活用しながら、自分ならではの付加価値を生み出していくことが重要です。
たとえば、新しいプロジェクトへの挑戦や、業界の枠を超えた知見の融合など、従来のやり方にとらわれないアプローチを試みることで、他にはない強みを築くことができます。この過程では失敗もつきものですが、それを成長の糧とし、自らの限界を押し広げることがキャリア形成において大きな意味を持ちます。「破」の段階は、自分の得意分野をさらに深掘りし、より洗練されたものに仕上げると同時に、新たな分野にも積極的に踏み出すタイミングです。その結果として、キャリアの幅が広がり、より大きな可能性と成長を手にすることができるでしょう。

そして、最後の「離」の段階は、これまで培ってきたスキルや経験を基盤に、自分自身のキャリアスタイルを確立するフェーズです。この段階では、従来の型や他者からの評価に過度に縛られることなく、自らの価値観や強みを中心に据えた新しい働き方を模索することが求められます。
具体的には、自分のスキルセットや価値観に合った働き方を選び、自らのペースでキャリアを自由にデザインしていくことが可能となります。多くの人がこの段階で、これまでの経験を見直し、新たな可能性に挑戦することを選ぶでしょう。たとえば、企業におけるキャリアアップを目指した転職、新しい業界での専門性の発揮、あるいはフリーランスとして独立し、自分自身をひとつのブランドとして確立するといった道も視野に入れることができます。また、この段階に到達すると自らが新しい価値を生み出す存在となり、他者を導いたり、後進を育てる役割を担う機会も増えていきます。これにより、より自由度が高く、自己実現を深めた働き方が実現できるでしょう。
「離」の段階では、過去に得た経験や実績が、単なる履歴ではなく、自分の強みやアイデンティティそのものとして形づくられます。これにより、より自由度が高く、充実感を得られる職業人生を歩むことが可能になります。このフェーズは、自らのキャリアを自分で舵取りし、より豊かな働き方を実現するゴール地点であり、同時に新たな挑戦の出発点でもあります。

心身に障害を持つことは決してキャリアの障害ではなく、新たな視点や強みを見つけるための大きな可能性を秘めています。多様な経験や価値観を持つあなただからこそ、他の誰にも生み出せない独自の価値を社会に提供できるのです。この「守破離」の精神を胸に、ご自身の可能性を信じて、一歩一歩進んでいけば、きっと新たな道が切り拓けることでしょう。私たち障害者転職エージェント「ハッピー」のスタッフ一同は、あなたの挑戦を全力でサポートし、未来を共に築くベストパートナーでありたいと願っています。あなたのどんな小さな一歩でも、それが大きな成果につながることを信じています。
最後に、キャリアとは決して一人で歩むものではなく、周囲とのつながりやサポートの中でより豊かに広がっていくものです。私たちは、あなたの強みと努力が実を結び、より充実した未来が訪れることを心からお祈り申し上げます。ぜひ、障害者転職エージェントハッピーとご一緒に、あなたらしいキャリアの物語を紡いでいきましょう。
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