身体障害のある方が知っておくべき障害者雇用の現状と可能性
こんにちは。障害者転職エージェント「ハッピー」の山口です。
身体障害者の雇用は、日本の障害者雇用において特に重要な柱として位置付けられています。長い労働市場の歴史の中で、障害者雇用促進法をはじめとする法制度や職場環境の整備が進み、多くの身体障害者が企業で活躍できる土台が築かれてきました。近年では、身体障害者の雇用は単なる社会的責任の遂行にとどまらず、企業の成長や多様性推進の重要な要素として認識されています。一方で、過度な求職者優位の市場化やスキルアップの必要性といった課題も存在します。本コラムでは、身体障害者雇用の強みや可能性、そして課題への対処法を具体的に考察し、今後のキャリア形成に役立つ視点を提供します。

<身体障害者雇用の歴史的背景>
身体障害者の雇用は、障害者雇用促進法が制定された当初から日本の障害者雇用の中核を担ってきました。この法律は主に身体障害者を対象としており、その結果、身体障害者向けの雇用環境が長年にわたり整備されてきました。職場内での合理的配慮の推進やバリアフリー設備の導入など具体的な取り組みが積み重ねられ、身体障害者が職場で安定的に働ける環境が構築されてきたのです。
このような取り組みの成果は、雇用人数にも表れています。厚生労働省の令和5年度調査によれば、身体障害者の雇用者数は約52万6,000人であり、精神障害者の約21万5,000人、発達障害者の約9万1,000人、知的障害者の約27万5,000人を大きく上回っています
(参照元:令和5年度障害者雇用実態調査)
身体障害者雇用は、これまでの長い歴史の中で制度的に確立されてきたことで、現在の雇用状況を支える結果となっています。また、身体障害者の雇用は企業にとって「目に見えやすい成果」として社会的信用を高める要素にもなっています。特に障害者雇用を進める企業は社会的責任を果たす姿勢を評価され、ブランド価値の向上にもつながるという点で戦略的な重要性を持っています。

<身体障害者の雇用における現実的な強みと可能性>
身体障害者の雇用には、企業側にとっていくつかの強みがあります。特に注目すべきは、勤続年数の長さに裏打ちされた雇用の安定性です。厚生労働省のデータによると、身体障害者の平均勤続年数は約12年2ヶ月であり、精神障害者の約3年5ヶ月、知的障害者の約9年7ヶ月を大きく上回っています。
(参照元:令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書)
こうした安定性は、企業や従業員によって多少の違いはあるものの、採用や教育にかかるコストの削減、業務の安定化、そして職場全体の効率性向上につながっています。
また、身体障害者には特定の業務に適応しやすい傾向があるという点も着目されています。事務職や製造業務、軽作業など、企業が求めるスキルと身体障害者の特性がマッチするケースが多くあります。この業務適応性の高さは、身体障害者が企業内で安定して活躍できる理由のひとつとなっています。企業にとっては、特性を活かした働き方が可能な身体障害者を採用することで、即戦力として期待することができます。他にも、身体障害者雇用は社会的信用の向上や多様性の推進にも寄与するという側面があります。身体障害者を雇用することは企業がダイバーシティ(多様性)を重視しているという姿勢を示すものであり、組織全体の創造性や問題解決能力の向上につながることが期待されています。
このように、身体障害者の雇用は企業にとって戦略的にも重要な要素となっています。

<身体障害者雇用が企業に与えるメリット>
これまでにみてきたように、身体障害者を雇用することには様々なメリットがあります。中でも特に重要なのが、安定した労働力の確保です。身体障害者は平均勤続年数が長く、離職率が低い傾向があります。これにより、企業は採用や教育コストを削減しつつ、安定した業務運営を実現できます。また、勤続年数が長いことで、職場内におけるノウハウの蓄積や、チームの信頼関係の構築が促進されるため、組織全体の効率性の向上も期待されています。
加えて、身体障害者が特性を活かした適切な業務に従事することで、健常者と同等、もしくはそれ以上のパフォーマンスを発揮するケースも多くあります。例えば、身体障害者が持つ集中力や継続性が、特定の業務で高い成果をもたらすことが企業側からも評価されています。

<課題と克服のためのアプローチ>
身体障害者の雇用が順調であったとしても、必ずしも「課題がない」というわけではありません。たとえば、身体障害者の雇用市場が売り手市場であるがゆえに、早期退職や短期的な離職の傾向が高まっているともいわれています。具体的には、若年層を中心に、より良い条件を求めて転職を繰り返すケースが増加しているようです。こうした傾向は、雇用の安定性を支える一方で、企業側の負担や新たな雇用の必要性を生じさせています。
従業員の勤務地が限定されるケースや通勤が困難な場合、フルリモート勤務や柔軟な働き方を求められることがありますが、こうした対応が整備されていない企業もまだ多いのが現状です。
他にも、中高年層が多い身体障害者雇用の特徴として、デジタルスキルの不足が指摘されています。このような課題に対応するためには、企業側の積極的な取り組みと、身体障害者自身のデジタルリテラシーの向上も求められるようになります。
具体的には、企業は職場環境の柔軟性を高めるためのリモートワーク制度の導入や、デジタルスキルの研修プログラムを充実させていく必要があるといえます。一方で、身体障害者自身も、自らのスキルや適性を把握し、それを向上させる努力を怠らないことが求められます。こうした相互の取り組みによって、身体障害者の可能性はさらに広がり、企業にとっても多様性を活かした成長が期待されます。

<希望に満ちた未来へ>
身体障害者の雇用市場は、多くの可能性を秘めています。企業が提供する合理的配慮は、身体障害者がその特性を最大限に発揮するための重要な基盤です。一方で、身体障害者自身が自己理解を深め、必要なスキルを磨き続ける努力も欠かせません。こうした相互の取り組みによって、企業と障害者の間に信頼関係が築かれ、長期的な成長の基盤が形成されていきます。
日本の障害者雇用では、多様性を受け入れる価値観が広がりつつあり、障害があっても職場で主役として活躍できる機会が増えています。たとえ一時的にうまくいかない時期があったとしても、自分らしい挑戦を続け、諦めずに可能性を追求することで、自らのキャリアをより豊かなものにすることができます。今後のキャリアをお考えの方はぜひ、私たち障害者転職エージェントハッピーと共に、希望に満ちた未来を築いていきましょう!
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