「リワーク」って何? メンタル不調からの復職・就職を支援する制度を徹底解説 | 障害者転職エージェント ハッピー


「リワーク」って何? メンタル不調からの復職・就職を支援する制度を徹底解説


「働くこと」に不安を感じているあなたへ
こんにちは。障害者転職エージェントハッピーの丹羽です。
皆さま、「リワーク」という言葉を聞いたことはありますか?
うつ病や適応障害をはじめとするメンタルヘルス不調で休職中の方や、就職・転職活動で悩んでいる方とお話しする中で、この質問をすると「初めて聞きました」「何となく聞いたことはあるけれど...」という反応をいただくことが多くあります。

「リワーク」は「Return to Work」に由来する職場復帰を意味する言葉で、その施設や制度の利用は、障害者手帳をお持ちの方にとって復職や就職を成功させる効果的な方法のひとつです。にもかかわらず、その存在や活用方法が十分に知られていないのが現状です。

「もう一度働けるのか不安」「どこに相談すればいいか分からない」「一人で頑張るしかないのかな」そんな風に感じていませんか?

安心してください。あなたは一人ではありません。専門的なサポートを受けながら、あなたらしい働き方を見つける道があります。

今回は、そんなリワークについて全く知らない方でも理解できるよう、基礎から具体的な活用方法まで分かりやすく解説いたします。

【第1章】「リワーク」とは何か?
■リワークの意味と目的
「リワーク(Re-work)」とは、冒頭でも触れたように英語で「職場復帰」を意味する言葉です。具体的には、うつ病や適応障害、双極性障害などのメンタルヘルス不調により休職した方や、就職・転職を希望する方が、安心して働けるよう支援する専門的なプログラムなどを指します。

理想のリワークは、単に「仕事に戻る」ことだけを目的とするのではありません。再び同じような困難に直面しないよう、回復と再発防止を目指します。そのため、生活リズムの改善から職業スキルの回復、ストレス対処法の習得まで、包括的なサポートが提供されます。

■こんな方が対象です
リワークは以下のような方を対象としています。
▼休職中の方
・うつ病、適応障害、双極性障害、発達障害、統合失調症などで休職中の方
・復職への不安や準備不足を感じている方
・「また同じことが起きるのでは」という恐怖がある方
・通院だけでは安定就労が心配な方
など

▼転職・就職を検討中の方
・メンタルヘルス不調で前職を退職した方
・就職活動に自信が持てない方
・面接で失敗が続いている方
・長期就業に不安がある方
・休職を繰り返したくない方
など

■障害者手帳の有無は問いません
誤解されがちではありますが、リワーク施設や制度は障害者手帳を持っていなくても医師の診断があれば利用が可能です。

【第2章】 リワークの基礎知識
■医療リワークと福祉リワークの違い
リワークには、大きく分けて2つの種類があります。それぞれの特徴を理解して、自分に合った選択肢を見つけることが大切です

(1)医療リワーク:
精神科病院やクリニックで提供されるリワークです。医師や看護師、精神保健福祉士などの医療専門職が中心となって、主に症状の安定化と再発防止に重点を置いたプログラムを実施します。健康保険が適用され、自己負担は3割となります。利用期間は概ね3~6ヶ月程度です。

(2)福祉リワーク(障害福祉サービス) :
障害福祉サービス事業所で提供されるリワークです。たとえば、ライフィング株式会社のグループ会社であるニューロリワークのような専門機関では、より実践的で包括的なプログラムを提供しています。自立支援医療が適用されるため、前年の所得に応じて1割負担または自己負担額なしで利用できます。利用期間は最大2年間と長く、じっくりと準備を進められます。

■費用について:経済的な不安が少ないのが特徴
「リワークを利用したいけれど、費用が心配...」そんな不安をお持ちの方も多いかもしれません。この点、福祉リワークの場合は利用料金の負担が少ない点が魅力のひとつともいえます。

▼自己負担額の目安
・生活保護受給世帯:自己負担なし
・市町村民税非課税世帯:自己負担なし
・市町村民税課税世帯:月額上限9,300円または37,200円
休職中で収入が減っている方でも安心して利用できる制度設計といえます。

■プログラム内容の具体例
リワーク施設によって提供されるプログラムは異なりますが、概ね以下のようなものがあります。

・生活習慣の改善:
規則正しい生活リズム、運動習慣、食事管理など健康的な生活の土台作り

・自己理解とストレス対処法:
認知行動療法に基づく、自分の思考・行動パターンを客観視し、効果的な対処法を習得

・職業スキルの回復:
パソコン操作、ビジネスマナー、コミュニケーション技術などを無理なく段階的に回復

・復職/就職準備:
履歴書作成、面接練習、企業研究など実際の活動に向けた具体的準備

リワーク機関を選ぶ際は、「自身にとって必要なプログラムが用意されているか」「個別の配慮がされているか」などを確認することがポイントです。施設によってプログラム内容や専門性が異なるため、見学時にしっかりと質問することが大切です。

【第3章】 利用の流れ:初心者でも安心のステップガイド
■Step1:主治医への相談
リワーク利用の第一歩は、主治医への相談です。何を聞けば良いか分からないという方に向けて、具体的な質問例をご紹介します。

主治医への質問例
「リワークプログラムの利用を検討していますが、私の状態では利用可能でしょうか?」
「復職(就職)に向けた活動を始めるタイミングについて教えてください」
「リワーク利用に必要な手続きがあれば教えてください」

主治医が「復職に向けた活動を開始しても良い」と判断したら、次のステップに進めます。


■Step2:受給者証の申請
福祉リワークを利用するには、お住まいの市区町村で「障害福祉サービス受給者証」の申請が必要です。

▼申請窓口:
市区町村の障害福祉課(自治体により名称が異なる場合があります)

▼必要書類
・申請書(窓口で入手可能)
・医師の意見書または診断書
・身分証明書
・印鑑

申請から受給者証の発行まで、通常2~4週間程度かかります。手続きが複雑に感じる場合もありますが、窓口の職員から丁寧に説明を受けることができるので安心です。


■Step3:リワーク機関の選び方・見学
受給者証の申請と並行して、リワーク機関を選びます。以下では、選ぶ際のポイントについてみていきます。

▼立地・アクセス:
毎日通うことを考えると、自宅からの通いやすさは重要です。公共交通機関での所要時間が1時間以内であることが理想的です。

▼プログラム内容:
自分の状況や目標に合ったプログラムがあるかを確認しましょう。見学時には、実際のプログラムの様子を見学し、雰囲気を確認することが大切です。

▼スタッフの専門性:
精神保健福祉士、公認心理師、臨床心理士などの専門スタッフが配置されているかを確認しましょう。なお、有資格者でない場合もこれまでの経験などから効果的なサポートを提供できることも多いため、必ずしも「資格ありき」で考える必要はありません。

▼実績・評判:
復職率や定着率などの実績があるかも重要なポイントです。


■Step4:利用開始から修了まで
いよいよリワークプログラムの開始です。最初は不安に感じるかもしれませんが、専門スタッフが一人ひとりの状況に応じて丁寧にサポートします。主なリワーク施設での流れとしては、以下の通りです。

▼個別支援計画の作成
最初に、自身の現在の状況や目標に関するヒアリングが行われ、個別の支援計画が作成されます。この計画に基づいて、無理のないペースでプログラムを進めていきます。

▼段階的なプログラム参加
最初は週2~3日、短時間から始めて、徐々に参加日数や時間を増やしていきます。体調や集中力の回復に合わせて調整されるため、無理をする必要はありません。

▼定期的な面談とフォロー
専門スタッフとの定期面談により、進捗状況や悩みを共有し、必要に応じてプログラム内容を調整していきます。

▼よくある不安とその解決
リワーク利用を検討する際、多くの方が同じような不安を抱えています。ここでは代表的な不安とその解決策をご紹介します。

「他の利用者とうまくやっていけるか不安」
→リワークでは個別のペースを尊重し、無理に交流を強要することはありません。自然な形で少しずつ人との関わりに慣れていくことができます。

「体調が不安定で続けられるか心配」 →
体調に合わせて、参加日数や時間を柔軟に調整することができます。調子の悪い日は無理をせず、休むことも治療や訓練の一部です。

「スキルが落ちていて足手まといになるのでは」
→スキル回復も含めてリワークの目的です。基礎から無理のないペースで進められるので、現在のレベルを心配する必要はありません。

「費用が継続的にかかるのでは」
→ 福祉リワーク(障害福祉サービス)を利用する場合、自己負担額が1割であるため大きな負担なく利用することができます。

「会社や家族に知られたくない」
→守秘義務により、本人の同意なしに情報が外部に漏れることはありません。プライバシーは厳重に保護されます。


■Step5:復職・就職活動のサポート
プログラムの最終段階では、実際の復職・就職活動に向けた具体的なサポートを受けることができます。

(1)復職の場合:
職場との連絡調整、復職面談の準備、段階的復職プログラムの調整など、スムーズな職場復帰をサポートします。

(2)就職・転職の場合:
企業研究、応募書類の作成、面接対策、企業とのマッチングなど、就職活動全般をサポートします。

【第4章】 今日からできる具体的なアクション
■まず何をすればいい?
「リワークに興味を持ったけれど、まず何をすればいいか分からない」という方に向けて、具体的なアクションプランをご紹介します。

▼今日できること
1.主治医に相談のアポイントメントを取る。
2.お住まいの市区町村の障害福祉課の場所と連絡先を調べる。
3.近くのリワーク機関をインターネットで検索する。

▼今週中にできること
1.主治医にリワーク利用について相談する。
2.市区町村の窓口で受給者証申請について相談する。
3.気になるリワーク施設に電話で問い合わせをする。


■リワーク機関への問い合わせ方法
「電話で何を聞けばいいか分からない」という方も多いかもしれません。その場合は、以下の質問例を参考にしてください。

▼電話での質問例
・「リワークプログラムについて詳しく教えていただけますか?」
・「見学は可能でしょうか?予約は必要ですか?」
・「利用条件や費用について教えてください」
・「どのようなプログラム内容ですか?」
・「利用期間はどのくらいですか?」

多くのリワーク機関では、電話相談や見学を無料で実施しています。まずは気軽に問い合わせてみましょう。


■見学時のチェックポイント
実際にリワーク機関を見学する際は、以下の点をチェックしてみてください。

▼施設・環境面
・清潔で落ち着いた環境か
・交通アクセスは良いか
・プログラム実施に適した設備があるか

▼スタッフ・利用者の様子
・スタッフの対応は丁寧で親身か
・利用者の表情は明るく、積極的に参加しているか
・質問に対して分かりやすく答えてくれるか

▼プログラム内容
・自分の状況や目標に合ったプログラムがあるか
・個別のニーズに応じた調整が可能か
・就職・復職に向けた具体的なサポートがあるか


■家族への説明方法
「家族にリワーク利用をどう説明すればいいか」という相談もよく受けます。以下のポイントを参考に説明してみてください。

▼説明のポイント
・リワークは医療的に認められた支援制度であること
・費用負担が軽く、経済的な心配が少ないこと
・専門スタッフによる手厚いサポートが受けられること
・多くの方が実際に復職・就職に成功していること
・無理をせず、自分のペースで進められること
家族の理解と協力があることで、より安心してプログラムに取り組むことができます。


■段階別の目標設定例
リワーク利用期間中の目標設定の参考例をご紹介します。

▼初期段階(1~2ヶ月目):生活基盤の安定
・週3日、午前中のみの参加から開始
・規則正しい起床・就寝時間の確立
・通所に慣れる(電車利用、人との接触に慣れる)
・基本的な集中力の回復(30分程度の作業継続)

▼中期段階(3~4ヶ月目):スキル回復と自己理解
・週4~5日、半日参加への移行
・パソコン操作やビジネススキルの復習
・ストレス対処法の習得と実践
・自分の疲れやすさのパターンを把握

▼後期段階(5~6ヶ月目):実践的準備
・フルタイム参加(週5日、6時間程度)
・模擬面接や実際の職場見学
・復職・就職活動の具体的準備
・職場での合理的配慮の整理


■目標は調整可能
体調や回復状況に応じて、無理のない範囲で調整することが大切です。「予定通りいかなくても大丈夫」という心構えで取り組みましょう。


■よくあるQ&A
リワーク利用に関して、よく寄せられる質問にお答えします。
Q1:リワークを利用中に体調が悪化したらどうなりますか?
A:体調に合わせて参加日数や時間を調整できます。一時的に参加を休止することも可能で、その間も利用期間は継続されます。無理をしないことが最優先です。

Q2:会社にリワーク利用がバレませんか?
A:リワーク機関には守秘義務があり、自身の同意なしに会社に情報が伝わることはありません。復職時の情報共有も、自身が了承した範囲のみで行われます。

Q3:リワークを利用しても就職できなかったらどうしますか?
A:利用期間中に就職が決まらなくても、その後のフォローアップサポートを受けられる機関が多くあります。また、必要に応じて他の支援機関への橋渡しも行われます。

Q4:障害者雇用と一般雇用、どちらを目指すべきですか?
A:自身の状況や希望に応じて選択できます。リワークでは両方の選択肢について情報提供し、自身に最適な働き方を一緒に考えます。

Q5:利用期間の2年間で必ず就職しなければなりませんか?
A:2年は最大利用期間です。多くの方はもっと短期間で目標を達成されています。自身のペースに合わせて進められるので、焦る必要はありません。

Q6:リワーク利用中にアルバイトはできますか?
A:原則として、リワーク利用中の就労は制限されています。詳細は利用前に確認が必要です。経済面での不安がある場合は、生活保護や障害年金等の相談も可能です。

【まとめ】 あなたらしい働き方への第一歩
■「完璧」を目指さなくていい
リワークプログラムを通じて学ぶことのひとつは、「完璧を目指さなくてもいい」ということです。大切なのは、自身のペースで、自分らしい働き方を見つけることです。

メンタルヘルス不調を経験したことは、決して恥ずかしいことでも、弱いことでもありません。むしろ、その経験を通じて得た気づきや成長は、自身の大きな強みになります。

■あなたは一人ではありません
「もう働けないかもしれない」「誰も理解してくれない」そんな風に感じているかもしれません。でも、あなたは一人ではありません。

全国には、あなたと同じような経験をし、リワークを通じて新たな一歩を踏み出した多くの方がいます。専門スタッフも、あなたの気持ちに寄り添い、一緒に歩んでいきます。

■今日が新しいスタート
「いつか働けるようになったら...」ではなく、「今日から準備を始めよう」と考えてみてください。小さな一歩でも構いません。主治医への相談、リワーク施設への問い合わせ、見学の申し込み。どんな小さなアクションでも、それがあなたの新しいスタートになります。

リワークは、あなたが「働く喜び」を取り戻すための強力なサポートツールです。一人で悩まず、専門的な支援を受けながら、あなたらしい働き方を見つけていきませんか?

明日のあなたが、今日のあなたに「ありがとう」と言える日が、きっと来ます。
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・特徴:障害者専門の転職エージェント、精度の高いマッチングと丁寧なサービスが特徴
・執筆者:丹羽(障害者転職エージェントハッピー)
障害者転職エージェントハッピーの現場責任者として、多くの方の「違い」を「強み」に変える支援を行う。「あなたらしい働き方の実現」をモットーに、一人ひとりの可能性を最大限に引き出すキャリアサポートを提供しています。
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※本コラムの内容は2025年10月時点の情報に基づいています。
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