「障害者雇用=低収入」はもう古い!年収400万円を実現する働き方
皆さん、こんにちは。障害者転職エージェントハッピーの丹羽です。
「障害者雇用=低収入」
そんな現実に、心が折れそうになったことはありませんか?
でも今、働き方次第でその壁を超えていく人たちが確かに存在しています。発達障害の方も、精神障害をお持ちの方も、IT業界やアパレル、外資系企業で活躍されています。
あなたの未来を変えるヒントが、ここにあります。

■障害者雇用でのリアルな給与事情
「給与が思っていたよりも、ずっと少ない」
「これで本当に生活していけるのかな?」
初めて給与明細を見たとき、そう感じた方も多いのではないでしょうか。障害者雇用という働き方を選んだはずなのに、その対価があまりにも低い──
「これで、ちゃんと暮らしていけるのかな」
「自分には、これだけの価値しかないのかな」
「この先、ずっとこのままなのかな」
そんな不安や無力感が、ふと心に差し込む瞬間があるかもしれません。
実際、生活の中でお金のことは無視できません。家賃、食費、交通費、病院代。自由に使えるお金は少なく、推し活などの楽しみも我慢する生活が続くと、気持ちがどんどん内向きになってしまうことがあります。中には、「せっかく働いているのに、これでは何のために頑張っているのかわからない」と感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。いわゆる、「労働のための労働」です。
しかし、どうか自分を責めないでください。あなたの価値が低いわけではありませんし、努力が足りないわけでもありません。これは、制度や雇用の構造そのものに、根深い現実の問題があるのです。
たとえば、雇用機会の偏りや、障害者雇用に対する企業の理解度の差、または合理的配慮(働きやすい環境を整える企業の義務)がある反面、正当な評価につながりづらい現実など、こうした環境の中で、正当な報酬を得ることが簡単でないのは当然のことなのです。
このコラムでは、障害者雇用における給与のリアルを、数値や構造の説明を交えながらお伝えしていきます。同時に、「それでもどうしたら自分らしく働き、生きていけるか」という道筋も、一緒に考えていきます。この先にあるのは、現実の厳しさだけではありません。ちゃんと可能性もあります。あなたがこの道を歩んでいく上で、少しでも勇気やヒントを持ってもらえるよう、真心を込めてお届けします。

■「年収200万円」——それは、あなたの価値ではありません
厚生労働省の調査によると、障害のある方の平均年収は約200万円。これは、一般的な年収と比べて約半分以下という数字です。
この数字を見て、「やっぱりそうか......」と、静かに肩を落とした方もいるかもしれません。せっかく病気を乗り越えて一生懸命働いているのに、報われていないような気持ちになったり、「これって、自分の価値が低いってことなのかな」と、心が曇る瞬間があるかもしれません。
けれど、そう感じてしまう前に、まず知っておいてほしいことがあります。この数字の背景には、単なる能力差ではない、多くの構造的な事情があるということです。
たとえば、令和5年に公表された厚生労働省の調査では、身体障害のある方の平均月収はおよそ23万5千円です。これに対して、精神障害のある方は約14万9千円、知的障害のある方は約13万7千円、発達障害では約13万円と、障害の種類によって収入に大きな差があることが明らかになっています。
(出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査」)
障害者雇用は、「合理的配慮」を前提とした制度です。体調の波に応じた勤務調整、通院に配慮した柔軟なシフト、業務内容の限定など、一般的な雇用ではあまり見られない働き方が求められます。最近では在宅ワークやハイブリッドワーク(=出社と在宅の組み合わせ)も普及し、より柔軟な働き方が可能になってきています。もちろん、こうした仕組みは私たちにとって働く上で欠かせないものですが、企業側にとっては環境整備や体制構築など一定の負担がかかることも事実です。
そのため、企業によっては業務範囲を控えめに設定したり、評価のペースを慎重に見極めたりする傾向があるのも現状です。つまり、賃金がやや低く設定されやすい構造が最初から含まれている場合があるのです。
しかし、だからといって「同じ仕事をしているのに、給料が違う」という状況に納得がいかないのは、ごく自然な感覚です。実際に、同等の業務をこなし、成果を出しているにもかかわらず、障害者雇用というだけで低い給与に据え置かれているケースはめずらしくありません。
これは、制度上の不備というよりも、企業側の意識や理解度、評価制度の運用にまだまだ改善の余地があることを意味しています。たとえば、法定雇用率を満たしている企業の割合は、令和6年時点で全体の46%にとどまっています。これは、「制度がある」ことと「制度が活きている」ことの間には、まだ大きな溝があることを物語っています。
それでも、少しずつではありますが、変化の兆しも見え始めています。スキルベース採用(能力重視の評価)やDE&I(多様性・公平性・包摂性)の推進の流れで、障害のある方のスキルや成果を適切に評価し、ポジションや給与を同等に引き上げている企業も増えてきています。特にIT業界や専門職の分野では、障害者雇用の枠組みであっても高年収を実現している方も少なくありません。
たしかに今の数字は厳しく見えるかもしれません。でも、それはあなたの価値を示すものではありません。むしろ、「ここからどう進むか」にこそ、本当の意味があります。

■構造的格差と、その抜け道は「好き」にある
「何を選ぶか」で、結果は大きく変わります。そして、その選び方こそが、実は最も難しいのかもしれません。障害者雇用において、給与や働きやすさに差が出る背景には、雇用形態・職種・勤務地といった構造的な要素があります。正社員かどうか、どんな業界を選ぶか、都市部か地方かなど、それぞれの選択が、目に見える収入や待遇に直結するのは確かです。
たとえば、IT業界や事務職のような専門性の高い職種は、給与も比較的高めに設定されています。外資系企業や金融業界でも、多様性を重視する企業では障害者雇用に積極的で、働きやすい環境づくりが進んでいます。一方で、軽作業や単純労働、サービス業ではどうしても賃金が抑えられる傾向があります。勤務地についても、首都圏では求人の数や職種の幅が広く、給与水準も地方より高いことが多くみられます。
また、雇用形態にも注目が必要です。障害者雇用では、有期契約やパートタイムからのスタートが一般的です。これは体力面や通院、生活スタイルへの配慮が前提となるため、企業側も柔軟な雇用形態を用意する必要があるからです。最近では、タイパ(=タイムパフォーマンス)を重視する働き方やAIエージェントを活用した効率的な業務、またはスキマバイトのような新しい働き方も増えてきています。
ここまでお伝えした内容は、すべてロジカルな事実です。でも、実はもうひとつ、もっと根本的で忘れてはいけない視点があります。それは、「好き」や「得意」という感覚を軸に仕事を選ぶことです。
頑張らなくても成果が出やすいこと、夢中になって取り組んでしまうこと。そういった、自分の原始的な感覚──つまり、「好きこそ物の上手なれ」という気持ちが、実は最大の武器になります。
努力は、「苦行」である必要はありません。「自然と続けられる環境や職種」に出会えたとき、努力は積み重ねになり、続けられることがチャンスを呼び、チャンスが成果を呼びます。今の格差は、行動の連続によって必ず是正できる。それは夢物語ではなく、すでに現実に始まっているプロセスです。

■高年収も可能な事例と、希望はすでに始まっている
「障害者雇用=低賃金」──それは、もう過去の話になりつつあります。
確かに、平均的なデータを見れば、障害者雇用の賃金は健常者よりも低めに出ているのが実情です。けれど、それが「いつまでも変わらない現実」かというと、決してそうではありません。
実際に、状況は着実に変わりつつあります。たとえば、障害者専門の転職エージェントを通じて就職・転職した方の中には、年収360万円〜450万円を安定して得ている方が既に数多くいらっしゃいます。
ある軽度の統合失調症を抱える20代の男性は、大学中退後しばらく就労ができず、自宅で動画編集の趣味に没頭していました。趣味で触れていた編集ソフトのスキルが思わぬ転機を生み、ある日SNS広告制作会社からの業務委託に採用されました。その後、障害者雇用枠の正社員ポジションとして、SNS広告の編集ポジションに就任し、月収約30万円+年間賞与を得ています。副業の映像制作も合わせて、年収は約440万円です。
また、30代の女性──彼女は聴覚障害がありながら口話での会話が可能で、基本的な対話には不自由しませんでしたが、職場での聞き漏らしや配慮不足に悩まされ、転職を繰り返してきました。そんな彼女が出会ったのは、チャットカスタマーサポートの仕事です。業務はすべてテキストベース。言葉のミスがなく、じっくり考えて対応できるこの業務は、彼女の強みにピタリとはまりました。
彼女はそこからAIチャットボットのトーン調整・対話シナリオの改善を任されるようになり、現在はUXサポート職として活躍しています。年収は450万円を超え、「会話が苦手だった私が、会話を設計する側に回るとは思ってもみませんでした」と話しています。
このように、令和時代ならではの職種と、個人の特性を掛け合わせたキャリア設計が、実際に希望ある成果を生んでいます。「無理なくできる」「自分らしく続けられる」ことから始めれば、それはやがて、評価や収入という形になって返ってくるのです。
大切なのは、「スタート地点がどこであっても、評価は後からついてくる」という事実です。そして、それを支えるのは、「続けられる環境」と「相性のいい仕事」との出会いです。つまり、好きや得意から始まる好循環が、ここでも強く作用しています。
さらに心強いのは、こうした高年収事例が今、確実に増えてきているという点です。以前ならごく一部だったこうした例も、今では障害者専門のエージェントなどに登録する候補者の中で決してめずらしくない存在になってきました。
希望は、もう始まっています。それは誰か特別な人の話ではなく、「好き」と「続ける」をベースにした、背伸びしなくても手が届く未来なのです。

■実際の行動指針(スキル・就活・マインドセット)
可能性があると分かっても、どう動いていいか分からない──それが、多くの人にとって最初のつまずきです。
では実際に、これから自分の働き方を見直したいと考えるとき、どんな行動を意識すれば良いのでしょうか。ここでは、「スキル」「就活(転職活動)」「マインドセット」の3つの観点から、現実的な行動指針をご紹介します。
▼ スキル:今ある強みに気づき、令和らしく小さく始める
まず、「スキルアップ=新しく何かを勉強しなきゃ」と身構える必要はありません。重要なのは、今すでに自分がやっていることや興味が湧いていることに目を向けることです。
たとえば、
「SNSで推し活情報を発信している」
↓
「SNS運用代行やコンテンツマーケティング、ゲームが得意」
↓
「eスポーツ実況やレビューライター、ゲームテスター、AIやChatGPTを日常的に使っている」
↓
「AIライティング補助業務やプロンプト作成支援」
などのケースが考えられます。
令和の仕事は、「趣味や日常の延長」にあることが多くあります。そして何よりも大切なのは、「今その領域で仕事になってなくても実力がなくても構わないということ」です。興味や関心があって、「これなら続けられそう」「多少なら成果が出せる自信がある」と感じたなら、まずは趣味やアルバイト、業務委託といった小さな入口から始めてもいいのです。
▼就活(転職活動):求人の量より、情報の質を見極める
障害者雇用の求人を探すとき、多くの方が「知名度のある会社かどうか」「給与が高いかどうか」「正社員かどうか」で判断しがちですが、本当に大切なのは、「その会社が自分にとって本当に合っているか」です。
口コミサイトで企業の障害者雇用に関する評判を調べたり、障害者の定着率、職場の雰囲気、カスハラ対策(顧客からのハラスメント防止)の充実度、配慮内容など、書き込みの傾向を見たりすることで、リアルな内情が見えてきます。また、その業界・会社に詳しい人にSNSで相談する。X(旧Twitter)やnote、LinkedInなどでは実名で体験談を語っている人も多く、DMなどで情報交換ができることもあります。もちろん、障害者転職エージェントのキャリアカウンセラーに聞くことも良いでしょう。
▼マインドセット:速さではなく、自分に合った道を見つける
そして最後に、何よりも大事なのはマインドセットです。特に障害者雇用のフィールドでは、「頑張りすぎること」よりも、合っている働き方を選ぶことが結果的に長続きし、成果にもつながります。
「この仕事、自然と続けられているな」と感じる瞬間があるなら、それがあなたの向いている道かもしれません。そこから始めたキャリアは、無理がなく、成果も出やすく、評価や報酬につながりやすいという好循環に入りやすいのです。他人のペースに惑わされず、比べず、自分にとっての「自然な働き方」を選ぶことが大切です。これこそが、障害のある方にとって最も価値のある戦略です。

■未来は、ゆっくりでも確実に変えられる
ここまで、「障害者雇用のリアルな給与事情」について、データ・構造・事例・そして行動のヒントまでをお伝えしてきました。平均年収が低いことも、職種による格差があることも、それは否定できない現実です。けれど、その現実は変わらないものではありません。
まず、知っておいてほしいのは、今の収入や今のステータスは、決してあなたの本当の価値ではないということです。障害者手帳を取得後、たまたま与えられた条件や、選ばざるを得なかった環境がそうさせているだけであって、それがあなたという人の評価そのものではありません。
そしてもうひとつ、これはとても大事なことですが──その今は、正しい行動と、正しい方向性さえあれば、必ず変えていくことができることなのです。
努力の量よりも、向かうべき場所を間違えないこと。頑張るよりも、自分に合った場所ややり方を選ぶこと。それが未来を変える確かなカギになるのです。
「好き」「得意」「ちょっと興味がある」──そのどれかがあれば、十分にスタートラインに立てています。そしてもうひとつ、大切にしてほしいことは、「あなたの未来は、あなた自身が選べる」という事実です。社会や会社、親が決めるのではありません。誰かの評価が、あなたの可能性を決めるわけでもありません。
私たち「障害者転職エージェントハッピー」も、そんなあなたの小さな一歩を、心から応援しています。未経験のZ世代の方やキャリアアップを目指すミレニアル世代の方も、あなたらしい働き方を見つけたい方も、まずはお気軽にお話を聞かせてください。今すぐ転職を決める必要はありません。転職以外のキャリア相談も大歓迎です。どうか焦らず、深呼吸をしながら、「あなたにしか歩めない道」を、自分の歩幅で進んでください。未来は、変えられます。その鍵は、あなたの手の中にあります。
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・運営:ライフィング株式会社
・特徴:障害者専門の転職エージェント、精度の高いマッチングと丁寧なサービスが特徴
・執筆者:丹羽(障害者転職エージェントハッピー)
障害者転職エージェントハッピーの現場責任者として、多くの方の「違い」を「強み」に変える支援を行う。「あなたらしい働き方の実現」をモットーに、一人ひとりの可能性を最大限に引き出すキャリアサポートを提供しています。
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※本コラムの内容は2025年10月時点の情報に基づいています。
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