復職支援にリワークを導入するメリットと手順【人事担当者向け】 〜「また休職してしまった…」そんなお悩みを解決する新しいアプローチ〜 | 障害者転職エージェント ハッピー


復職支援にリワークを導入するメリットと手順【人事担当者向け】〜「また休職してしまった…」そんなお悩みを解決する新しいアプローチ〜


こんにちは。障害者転職エージェントハッピーの丹羽です。

「せっかく復職したのに、3ヶ月後にまた休職になってしまった」
「復職可否の判断に確信が持てない」
「産業医からは『様子を見ましょう』と言われるが、具体的にどうすればいいのか分からない」

人事・労務担当者の皆様から、このようなお悩みを数多くお聞きします。厚生労働省の調査によると、メンタルヘルス不調による休職者の復職後1年以内の再休職率は約30%。つまり、3人に1人が再び休職してしまうという現実があります。

しかし、諦める必要はありません。近年、復職を目指すための「リワーク機関」との連携により、復職の成功率を大幅に向上させる企業が増えています。先日公開したコラム(「リワーク経験者の採用メリットとは?人事が知るべき障害者雇用の新戦略」)ではリワーク機関との採用面での連携についてご紹介しましたが、今回は本来の重要な役割である「復職支援」に特化してお話しします。

【第1章】なぜ従来の復職支援では限界があるのか?
▼見えない「職業準備性」という壁
一般的に、休職期間中に主治医から出される診断書は「症状の改善」に焦点を当てたものであるのに対して、職場復帰を考える上で重要となるのは「職業準備性」という観点です。職業準備性とは、通勤に必要な能力をはじめ、集中力の持続、ストレス耐性、対人関係構築能力など、職場で働くために必要な総合的な能力を指します。

症状が改善しても職業準備性が十分に回復していなければ、復職後に再び不調に陥る可能性が高くなります。とはいえ、この能力を社内だけで評価し、回復させることは容易ではありません。

▼孤立する人事担当者の現実
「復職支援について、誰に相談すればいいのか分からない」という声もよく耳にします。産業医との連携は取れていても、具体的な復職支援メニューまで相談できるケースは多くありません。

結果として、人事・労務担当者が一人で判断を迫られ、「この判断で本当に良いのだろうか」という不安を抱えながら、復職支援を進めざるを得ない状況になります。メンタルヘルス対応に関する専門知識や経験が不足している中で、重要な復職可否判断を行わなければならない状況は、人事担当者にとって大きな負担となっています。

▼「専門家に任せる」ことで実現する三方良し
ここで重要なのが「餅は餅屋」という考え方です。メンタルヘルス不調者の復職支援は高度な専門性を要する分野であり、これを社内だけで完結させようとするのは現実的ではありません。この点、復職を支援する「リワーク機関」を活用することで、適切な役割分担が可能になります。

このリワーク機関が専門的な復職訓練と評価を担い、企業は職場環境の調整と受け入れ体制の整備に専念するという明確な役割分担により、休職者本人は専門的なサポートを受けながら確実な復職準備が可能となります。こうして人事担当者は専門外の重圧から解放され、企業は客観的な判断材料に基づいた安全な復職を実現することができます。

すなわち、休職者・企業・リワーク機関の「三方良し」が成立することになります。人事部内で抱え込まず、専門機関と連携することこそが、現代の復職支援における最適解といえるでしょう。

▼リワーク機関との連携がもたらす変化
リワーク機関との連携には、以下のようなメリットがあります。

・段階的な復職訓練:
復職後の業務を想定した無理のない復職準備を通じて、再休職リスクを軽減します。

・三者連携の実現:
主治医・産業医・リワーク機関が連携することで、医学的見解と職業準備性の両面から総合的支援が可能となります。

・職業準備性の客観的評価:
専門スタッフからの詳細な報告書を受け取ることで、復職可否の判断に明確な根拠を知ることができます。

【第2章】リワーク活用の基本知識
▼医療リワークと福祉リワークの使い分け
リワークは、「医療リワーク」と「福祉リワーク」の2つに大別することができます。それぞれの特長を理解しておくことが、復職を実現する第一歩といえます。

医療リワークは、精神科病院・クリニックで提供される復職のための支援です。医療保険適用(3割負担)で、期間はおよそ3~6ヶ月が平均的です。支援内容は、医学的アプローチが中心となっています。

福祉リワークは、障害福祉サービスとして提供される支援です。自立支援医療が適用され(1割負担または無料)、最大2年間の利用が可能です。実践的かつ包括的なプログラムが特徴です。

企業が従業員の復職を考える場合、長期間の段階的訓練が可能で費用負担の軽い福祉リワークを選ぶというケースも少なくありません。障害者手帳がなくても、医師の診断書によって「自立支援医療制度」または「障害福祉サービス(就労移行支援など)」の対象となる場合に利用が可能です。

▼企業が知っておくべき利用の流れ
福祉リワークは、以下の5つのステップを経て利用することができます。

1.主治医による承諾:復職活動開始の医学的な承認を得る。
2.受給者証申請:市区町村の窓口にて必要な手続きを行う。(2~4週間)
3.個別支援計画作成:一人ひとりの状況に応じたプログラム設計や計画を立てる。
4.プログラム実施:生活習慣構築から職業スキル回復までを段階的に受けていく。
5.定期報告:月次報告書と復職アセスメント報告書で進捗を可視化する。

▼企業が知っておくべき費用負担の実際
人事担当者からよくいただく質問が、「リワーク利用にかかる費用は会社が負担するのでしょうか?」というものです。結論から申し上げると、福祉リワークの利用料金について企業の直接的な費用負担は一切ありません。

利用者の自己負担額は、前年の所得に応じて決まります。原則として1割負担であり、上限は37,200円です。休職中の従業員にとっても経済的負担が非常に軽く、安心してプログラムに専念できる制度設計となっています。企業は従業員の休職期間中の給与や社会保険料の取り扱いについて検討する必要がありますが、リワークプログラム自体の費用を負担する必要はありません。この点は企業・従業員双方にとって大きなメリットであり、費用面での心配なく専門的な復職支援を活用できることを意味します。むしろ、適切な復職支援により再休職を防ぐことで、長期的なコストの発生を防ぐことが期待できます。

【第3章】三者連携で実現する効果的な復職支援
▼専門性を活かした役割分担
リワーク施設によっては、医療機関(主治医・産業医)や企業と連携するケースもあります。各機関によって役割分担を行うことで、復職の効果を高めることが目的です。各機関の役割としては、以下のものが挙げられます。

・主治医:
症状の安定性と治療継続の必要性を医学的観点から判断する。

・産業医:
職場環境と従業員の健康状態のマッチングを評価し、具体的な配慮事項を助言する。

・リワーク機関:
職業準備性を客観的に評価し、段階的な復職訓練を実施する。

・企業(人事・労務):
復職支援方針を決定し、職場環境の調整や最終的な復職可否の判断を行う。

▼情報共有における注意点
三者連携で特に注意するべき点としては、個人情報保護への配慮が挙げられます。情報共有に関しては本人からの明確な同意が必要であり、共有する情報の範囲も事前に明確にしておく必要があります。

■復職支援施設「ニューロリワーク」
心身の不調による休職からの復職は、多くの方にとって大きなハードルです。体調の回復だけでなく、再び職場で安定して働き続けるためには、専門的な支援や環境づくりが欠かせません。そんな中、リワークで多くの実績を上げているのが、弊社のグループ会社が運営する、うつ症状や適応障害などによる休職からの復職を支援するニューロリワーク(運営:インクルード株式会社)です。主な特徴としては、以下の点が挙げられます。

▼特長1:科学的根拠に基づくプログラムと実績
脳科学者、精神科医、公認心理師等の監修による「ブレインフィットネスプログラム」をはじめ、様々な科学的アプローチを提供しています。2025年6月時点で復職・就職者が1,145名、半年後の職場定着率が90.4%と、いずれも高い実績を誇っています。

▼特長2:企業連携と詳細なサポート
ニューロリワークでは、施設利用者の通院先にスタッフが同行し、主治医に訓練中の状態を詳細にお伝えしています。また、企業担当者や産業保健スタッフにも定期報告することで、詳細な情報共有を実現しています。各担当者に休職者の現状を正確にお伝えすることで、医師や人事担当者は正確な復職可否判定が可能となっています。また、休職者への復職サポートを行うことで人事担当者が抱える負担を軽減させ、安定した職場環境を実現しています。

▼特長3:全国展開による利便性の高さ
東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・大阪・福岡に展開し、主要駅から徒歩圏内で通える立地の良さも魅力のひとつです。交通費助成制度(上限10,000円/月)もあるため、利用者は少ない負担で通うことができます。

【まとめ】未来を見据えた復職支援体制の構築
リワーク機関との連携は、従来の「症状が改善すれば復職」という考え方から、「職業準備性回復+再発防止策の確立後に復職」という科学的で確実なモデルへの転換を実現します。この新しいアプローチにより、企業は復職可否の判断に強い根拠を持てるようになり、従業員はより安心して職場復帰を果たすことができます。

メンタルヘルス不調により休職した従業員が「会社が自分のことを真剣に考えてくれている」「専門的なサポートを受けながら確実に復職準備ができる」と感じられることは、自身にとってどれほど心強いことでしょうか。

また、適切な復職支援体制の構築は、従業員エンゲージメント向上、離職率低下、生産性向上をもたらし、最終的には企業の競争力強化につながります。ESG(環境・社会・ガバナンス)経営の観点からも、従業員の健康と福祉を重視する企業姿勢は社会的評価の向上に寄与します。

企業が目指すべきは、リワークを利用した従業員が「今の方が以前より健康的に働けている」といえるような復職支援です。そのような体験をした従業員は、必ず会社への感謝と愛着を深め、同じような悩みを抱える同僚への良きサポーターにもなってくれるはずです。 復職支援でお困りの際は、一人で悩まず、ぜひ専門機関にご相談ください。従業員の「働く喜び」を取り戻し、企業の持続的成長を実現する復職支援を、共に創り上げていきましょう。

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▼執筆者:丹羽(障害者転職エージェントハッピー)
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※本コラムの内容は2025年9月時点の情報に基づいています。あなたの特性を活かしたキャリアについてのご相談は、お気軽に上記窓口までお問い合わせください。あなたの新しい物語が始まることを、心から楽しみにしています。