初めての障害者採用:面接で押さえるべき実務ポイント | 障害者転職エージェント ハッピー


初めての障害者採用:面接で押さえるべき実務ポイント


障害者採用を進める際には、まず「健常者採用の視点」から離れ、「障害者採用に特化した視点」への切り替えが不可欠です。障害のある方は就労において環境面や体調面での配慮が必要なケースも多く、健常者と同じ基準で選考・評価を行うことは適切ではありません。

特に障害者手帳をお持ちの方の中には、基礎疾患や体調の波、通院などの影響で転職回数が多くなったり、短期離職を繰り返したりする方もいらっしゃいます。これは本人の努力不足ではなく、多くの場合は不可抗力によるものです。そのため、こうした経歴を減点方式で捉えるのではなく、「どのような環境であれば安定して働けるのか」「どんな工夫を心がけてきたのか」といった前向きな視点で向き合うことが、人事担当者に求められます。

近年、障害者採用の現場では、スキルベース採用(=能力重視の評価)やDE&I推進(=Diversity, Equity, and Inclusion/多様性・公平性・包摂性)の観点から、より戦略的なアプローチが求められています。特にニューロダイバーシティ(=脳の多様性への理解)の重要性が高まる中、障害者採用においても従来の画一的な評価から脱却し、個々の特性を活かす視点が重視されるようになってきました。

今回は、障害者採用の現場で明日から実践できる「成功する障害者採用での面接テクニック」をお伝えします。精神障害のある方と身体障害のある方、それぞれへの対応で確認すべきポイントを具体的に解説いたします。すぐに取り入れられる内容ばかりですので、ぜひご参考ください。

■精神障害のある方との面接で人事が押さえるべきポイント
― 明日から使える実践テクニック ―
精神障害のある方の採用面接では、「体調の安定度」「自己理解」「生活習慣」などを丁寧に確認することが重要です。就労の継続可能性や必要な合理的配慮を見極めるには、定型的な質問だけでなく、相手の状況に応じた聴き方や表情、声のトーンといった非言語的なコミュニケーションも意識する必要があります。

その中でもまず大切なのは、面接冒頭でラポール形成(=信頼関係の構築)をしっかり行い、心理的安全性を確保することです。これは精神障害のある方に限らず、すべての求職者との信頼関係づくりにおいて基本となるものですが、特に精神に障害がある方にとっては、安心して自己開示できる雰囲気づくりが的確なアセスメントにつながります。

お互いに落ち着いて会話できる状態を面接の初期に整えることで、表面的な受け答えにとどまらない深い理解を引き出すことが可能になります。候補者の防衛的な態度を和らげ、率直に話せる空気をつくることが、障害者採用面接における大切な第一歩です。

ここでは、精神障害のある方と面接で向き合う際に、人事担当者が明日から現場で使える具体的な質問例とその意図をご紹介します。

▼1.精神障害のある方への面接ポイント

①体調の安定度を見極める
精神障害のある方の中には、体調の波が大きく、好不調の差が出やすい方もいます。就労の継続を支える上では、「いま安定しているかどうか」だけでなく、「どうすれば安定した状態を維持できるか」を面接で丁寧に確認していくことが重要です。

これは障害の有無にかかわらず、休職経験がある方や体調を崩しやすい方への対応としても非常に有効です。体調に波があるのはめずらしいことではなく、働き方や環境がマッチすれば、安定して力を発揮できる方は多くいます。

重要なのは、その「波」の特性と向き合い、どのようなサポートがあれば安定的に働けるのかを、求職者自身の視点で把握することです。この段階を丁寧に踏むことで、その後の質問や選考がより具体的で実践的なものになります。同時に、求職者の強みや課題が的確に見えてくるため、企業としても判断を誤らず、正しい方向性で採用や配属を進めることができるのが大きなメリットです。

【使える質問例】
「最近の睡眠や起床のリズムは、どんな感じですか?」
「1日の中で体調が崩れやすい時間帯などはありますか?」
「ご自身なりに、生活リズムを整えるために意識していることはありますか?」
「食事や通院、服薬のタイミングなど、何か気をつけていることはありますか?」

こうした質問を通じて、候補者の自己管理力や、安定した就労を続けるための準備がどれだけ整っているかを把握することができます。また、職場として何がフォローとして必要か、勤務時間や業務内容の調整が必要かといった判断材料にもつながります。

特に都内では、ハイブリッドワーク(=在宅×出社の組み合わせ)を導入する企業も増えており、生活リズムの特性に合わせた柔軟な働き方の選択肢も広がっています。生活習慣の安定度は、就労前の面接時点では見えにくい領域ですが、就業後に「続けられるかどうか」を左右する非常に大きな要素です。

表面上の印象や経歴だけで判断せず、こうした日常のリアルを確認することが、定着支援の第一歩となります。

②病識と自己受容を確認する
精神障害のある方との面接において、「自分の状態をどれだけ正確に認識し、受け入れているか」という点は、安定した就労を実現するうえで非常に重要な確認項目です。これは病識(びょうしき)とも呼ばれ、自分の症状や特性をどの程度理解しているか、そして必要な配慮をどれだけ自分から伝えられるかという観点です。

病識や自己受容がある方は、無理をせず働けるラインを理解しており、不調の兆しに気づきやすく、周囲へ適切に相談することができます。その結果、職場でのトラブルや急な離職を未然に防ぐことにつながります。

一方で、病識や自己受容が十分でないまま入社すると、どれだけ会社側が手厚い配慮や支援体制を用意しても、それが本人にとって機能しないという現実があります。結果的に本人にとっても職場にとっても不幸な状況になりかねません。だからこそ、この段階での確認は極めて重要なのです。

【使える質問例】
「現在のご自身の体調や状態について、どのように考えていますか?」
「調子が悪くなったとき、普段どのように対応されていますか?」
「困ったとき、職場にどのような相談をされますか?」
これらの質問を通じて、候補者の病識や自己受容の程度、さらには日常的なセルフケアや職場との関わり方について把握することができます。表面的な受け答えではなく、具体的なエピソードを引き出すよう意識すると、実態がより明確になります。

「病識と自己受容」のアセスメントは、いくらスキルや経験が豊富であっても、それだけでは見えてこない、精神障害のある方にとっての長期就業を左右する最も大切なポイントです。ここを見極めることこそが、採用成功と定着率向上につながる障害者雇用の鍵となります。

また、職場のエンゲージメント向上の観点からも、本人の自己理解度は職場全体の安定に大きく影響します。

③生活習慣の安定度を確認する
精神障害のある方の中には、症状や服薬、副作用、生活環境の影響などにより、生活リズムが不規則になりやすいケースがあります。特に睡眠の質や起床時間、食事の時間が不安定であることは就労継続に直接的な影響を与えるため、面接の段階で確認しておくべき重要な項目です。

生活習慣は一見プライベートな話題に思えるかもしれませんが、精神的な安定を支える土台として、仕事のパフォーマンスや勤務の安定性を大きく左右します。たとえば「出社時間に間に合わない」「業務中に集中力が続かない」「午後になると眠気が強くなる」といった不調は、日々の生活リズムの乱れが背景にある場合が少なくありません。

ここでのポイントは、「完璧な生活リズムである必要はない」ということです。大切なのは、候補者自身が自分の生活習慣をどう把握し、乱れたときにどのようにリカバリーしているかを確認することです。つまり習慣の理想ではなく、実態を正直に共有してもらえる関係性を面接でつくることが肝要になります。

【使える質問例】
「最近の睡眠や起床のリズムは、どんな感じですか?」
「1日の中で体調が崩れやすい時間帯などはありますか?」
「ご自身なりに、生活リズムを整えるために意識していることはありますか?」
「食事や通院、服薬のタイミングなど、何か気をつけていることはありますか?」

こうした質問を通じて、候補者の自己管理力や、安定した就労を続けるための準備がどれだけ整っているかを把握することができます。また職場として何がフォローとして必要か、勤務時間や業務内容の調整が必要かといった判断材料にもつながります。

特に都内では、ハイブリッドワーク(=在宅×出社の組み合わせ)を導入する企業も増えており、生活リズムの特性に合わせた柔軟な働き方の選択肢も広がっています。生活習慣の安定度は就労前の面接時点では見えにくい領域ですが、就業後に「続けられるかどうか」を左右する非常に大きな要素です。

表面上の印象や経歴だけで判断せず、こうした日常のリアルを確認することが、定着支援の第一歩となります。

▼2.身体障害のある方への面接ポイント

①障害の進行性を確認する
身体障害のある方を採用する際には、障害が「進行性かどうか」を事前に確認しておくことが、職場環境の整備や業務設計、将来的な支援計画において非常に重要なポイントとなります。特に長期的な雇用を前提とする場合、この点を見落とすと、後になって本人・職場双方にとって負担が大きくなるケースが少なくありません。

進行性の障害とは、現在は一定の状態で安定していても、将来的に機能の低下や新たな制約が生じる可能性がある障害を指します。代表的な例として、難病や神経系の疾患、徐々に運動機能が低下するような病態などが挙げられます。こうした場合、就労に影響が出るタイミングや内容をあらかじめ把握し、職場としてどこまで柔軟に対応できるかを見極めておく必要があります。

ただし、「進行性かどうか」を尋ねる際には、医療的な踏み込みすぎに注意し、あくまで就労に影響する可能性の有無を確認することが目的であるという姿勢が大切です。本人が話しづらいと感じる場合もあるため、面接全体で信頼関係ができていることが前提になります。

【使える質問例】
「現在の障害のご状況について、医師から今後の見通しなど説明は受けていますか?」
「将来的に、業務への影響が出る可能性について、ご自身ではどのように感じていらっしゃいますか?」
「今後、体の状態が変化した場合に、どのような業務内容や働き方の変更が必要になると思われますか?」

このような質問を通じて、企業側が必要な配慮や段階的な対応策を事前に検討することが可能になります。また、本人にとっても無理なく働き続けられる道筋が見えることで、雇用関係の安心感が高まります。

障害の進行性について確認することは、将来を見据えた長く働ける環境づくりのスタート地点です。今すぐ大きな変化がないとしても、備えを持って関わることで、無理のない就労支援が実現できます。

②社内協調性(社内調和)を確認する
まず前提としてお伝えしたいのは、障害者手帳を取得し、社会復帰・就労復帰に至るまでの道のりには、見えない努力や困難の連続があるということです。身体に障害を抱えながらも働くことを選び、面接の場に立っている時点で、すでに多くのハードルを乗り越えてこられた方々です。人事担当者としては、その事実に対して敬意と配慮を持って向き合う姿勢が求められます。

その上で、採用面接ではスキルや配慮事項の確認に加え、「社内での協調性」や「周囲との関係づくり」についても丁寧に確認しておくことが重要です。障害の有無にかかわらず、協調性は職場の安定や業務のスムーズな遂行に直結する要素です。特に支援や配慮が必要な場面では、周囲との連携がスムーズであることが、職場全体の安心感にもつながります。

一部のケースでは、過去の経験や配慮不足への不満から、権利主張が強くなりすぎてしまう方がいるのも現実です。もちろん、大きな病気や長い療養の末に社会復帰を果たしている方にとって、自身を守るための主張が必要な場面はあります。しかし、組織で働くうえでは、過度な権利主張や一方的なこだわりがかえって本人の立場を孤立させてしまうリスクがあります。

そのため、人事担当者としては、「必要な主張」と「組織の中で協調的に働く姿勢」とのバランスを、面接時にしっかりとアセスメントすることが求められます。現代の職場では、インクルーシブリーダーシップ(包摂的なマネジメント)の重要性が高まっており、多様な背景を持つメンバーが互いを尊重し合える環境づくりが求められています。

ただし、「協調性がある=周囲に合わせる」ということではありません。大切なのは、自分の立場や必要な配慮を伝えつつも、相手を尊重する姿勢があるかどうかです。これまでのチーム経験や対人関係でどんな工夫をしてきたかを尋ねることは、実態把握に非常に役立ちます。

【使える質問例】
「これまでの職場でのチームワークやコミュニケーションで、どのような点に気を付けてきましたか?」
「職場で他の方々と協力して仕事を進めることについて、どのように考えていますか?」
「意見が異なる人と一緒に働くとき、どんなふうに接するよう意識されていますか?」

これらの質問を通して、候補者の協調性や、配慮と関係づくりのバランス感覚が見えてきます。これは障害の有無にかかわらず、安定した職場づくりに欠かせない視点です。

採用はスキルの有無だけでなく、「職場との相性」や「関係性を築く姿勢」を含めて総合的に判断されるべきものです。こうした視点を持って面接に臨むことが、本人にとっても企業にとっても、結果的に長く働ける良い関係を築く一歩になります。

③ファシリティーと通勤負荷を確認する
身体障害のある方を採用する上で、職場のファシリティー(設備環境)と通勤時の負荷は、就労継続における実質的なハードルとなるケースが少なくありません。面接ではスキルや意欲といった内面的な要素だけでなく、「通えるか」「動けるか」「安全に働けるか」といった現実的な観点からの確認も非常に重要です。

たとえば、最寄り駅からオフィスまでに階段しかない、段差が多い、エレベーターがないといった環境は、車椅子や歩行補助具を使う方にとっては物理的な障壁になります。また職場内においても、バリアフリー設計の有無や、トイレ・執務スペースへのアクセス、安全な避難経路など、業務に支障が出ないための確認ポイントがいくつも存在します。

これらの点は、企業側が独自に判断するのではなく、候補者本人と直接すり合わせながら進めていくことが基本です。配慮の押し付けではなく、実態とニーズに合った支援を整えるための「対話」として捉える姿勢が、人事担当者に求められます。

通勤についても同様で、「最寄り駅からどのくらい歩けるのか」「混雑の時間帯は避けたいか」「公共交通機関の乗り継ぎに不安はあるか」など、本人が感じている負担を具体的にヒアリングし、それに応じて勤務時間の調整や、必要であれば在宅ワークの導入を含めた柔軟な対応を検討することが、就労の継続性を大きく左右します。

【使える質問例】
「通勤時に、特に配慮が必要な場面や時間帯などはありますか?」
「最寄り駅やバス停から職場までの移動について、不安な点はありますか?」
「職場内での移動や設備について、特に困りそうなことや希望する支援があれば教えてください」
「業務にあたって使用する機器や環境で、あらかじめ調整が必要なものはありますか?」
「普段の仕事の中で使い慣れているデバイスや支援ツールがあれば教えてください」

こうした質問を通じて、企業側が必要な設備対応や就労環境の調整を、採用前に具体的に検討できるようになります。無理な環境で無理に働かせることがないよう、あらかじめ現場レベルでの課題を可視化しておくことが、定着の第一歩です。

大切なのは、本人が不安なく「通える、動ける、働ける」と思える状態を整えること。ファシリティーや通勤面での確認は、その基盤を築くための非常に実務的で重要なアセスメントです。

■まとめ:障害者採用の「成功」とは何かを見極める
障害者採用を成功させるためには、スキルや経験の有無だけではなく、「体調の安定度」や「職場への適応力」を含めた総合的な視点で面接を行うことが欠かせません。本人の能力を正しく評価するためには、体調や生活習慣、協調性、通勤負荷、職場設備との相性など、複数の観点から丁寧にヒアリングを重ねていく必要があります。

その上で、人事担当者が面接の段階でしっかりとすり合わせを行うことが、入社後のミスマッチを防ぎ、候補者にとっても企業にとっても「納得感のある就労」につながります。

また、障害のある方が自分の強みを活かして長く働くためには、「社内協調性」や「居場所感」といった人との関係性が非常に重要です。どれだけ配慮された環境があっても、本人が職場の一員として自然に馴染めていなければ、定着は困難になります。

職場側が誠実に向き合い、安心して助けを求められる空気をつくることが、障害者雇用の質を大きく左右します。もちろん、障害のある方にもセルフマネジメント力や自己理解といった自助努力は求められますが、その努力が実を結ぶかどうかは、企業側の受け皿(体制と姿勢)にかかっているとも言えます。だからこそ、双方の歩み寄りを支える面接時の見極めが非常に重要になるのです。

人事担当者の真の役割
その意味で、人事担当者は単なる選考実務者ではなく、「会社の入口を守るゲートキーパー」であり、同時に「安心して働ける環境をつくる初動の担い手」でもあります。適切なスクリーニングを行い、実態に即した採用判断をすることが、長期的な障害者雇用の安定と、企業全体の持続的な成長につながります。

人的資本経営の視点から
人的資本経営(人材を資本として捉える経営)の観点からも、多様な人材が活躍できる環境づくりは、企業価値向上に直結する重要な取り組みです。特に、障害のある方への適切なリスキリング(既存スキルの再教育)機会の提供や、職場での継続的な成長支援は、長期的な投資効果をもたらします。

採用は、点ではなく線と考えることができます。スクリーニング精度を高めることは、本人が自信を持って仕事に取り組み、組織の一員として成長していくための、最初の土台づくりです。そこに本気で向き合えるかどうかが、これからの障害者雇用の成否を分けるカギとなるでしょう。

私たちがお手伝いします
障害者採用でお困りのことがあれば、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。
私たち「障害者転職エージェントハッピー」は、人事の皆様と一緒に考え、実践的な解決策をご提案いたします。

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※本コラムの内容は2025年11月時点の情報に基づいています。あなたの特性を活かしたキャリアについてのご相談は、お気軽に上記窓口までお問い合わせください。あなたの新しい物語が始まることを、心から楽しみにしています。