2023年3月30日に東京証券取引所グロース市場に上場したビズメイツ株式会社。同社は主軸のオンラインビジネス英会話事業を中心に堅調な成長を続けています。今回は、ビズメイツ株式会社の障害者雇用の成功に迫る人事インタビューをお届けします。全社員の約20%が外国籍社員である中で、障害のある方々がどのようにして活躍されているのか、その秘訣とビズメイツ株式会社が大切にしているDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を中心にお伺いしました。
ビズメイツ株式会社コーポレートデザイン本部
人事総務グループ ディレクター
佐藤 領 様(右)
ビズメイツ株式会社
コーポレートデザイン本部
人事総務グループ リーダー
本間 瞳 様 (左)
Qはじめに佐藤様と本間様の社内での役割を教えて頂けないでしょうか。
A佐藤様:私は人事総務グループの責任者として、労務総務チーム、採用教育チーム、法務チームという3つのチームを担当しており、本間さんは、労務総務チームのリーダーとして働いてくださっています。
Qビズメイツ様の基本的な障害者雇用をはじめDE &I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)のお考えについてお伺いできないでしょうか。
A本間様:当社の障害者雇用を含めたDE&I(和訳:「多様性」、「公平性」、「包含性」)に関してですが、強く意識しなくても社内にDE&Iの考えが自然と存在していることが大きな特徴かもしれません。その背景として、社員の約20%が外国籍で、具体的には、アメリカ、オーストラリア、東南アジア等、様々な国の出身者が働いています。
新卒も留学経験者や外国籍の者が含まれている為、“違い”に関して寛容なキャパシティが十分にあるのが特徴です。ですので、障害のある方に関しても適切な配慮を行いますが、特別な存在ではなく、他の社員と同様に働いていただいているのが現状です。よく社会で障害は個性だと言われておりますが、まさにそのような認識で障害のある方とも接しております。
Qビジネス特化型オンライン英会話「Bizmates」を中心に事業展開をなさっておりますが、障害のある方だけでなく、社内には外国籍社員をはじめ様々なバックグラウンドの方が働いておりますが、労務管理で大切にしているこ とがあれば教えて下さい。
A本間様:労務管理で大切にしていることは、いくつかありますが、就業規則や勤怠管理など、基本的な会社のルールを凡事徹底してもらえるように丁寧な説明を心がけております。さまざまなバックグラウンドの方が在籍しておりますが、会社の秩序は皆で守らなければ、組織として機能しません。もし何か疑問や誤解が出た際は、まず当事者の意見をしっかり受け止めながらルールに従って説明させて頂きます。
もうひとつは、外国籍社員、中途採用での入社者、留学経験者が多いため、セルフスターター(自律型人材)が多いのですが、なるべく皆様の個性を保ちながら業務に集中できる環境をご用意できるように努めております。例えば、宗教上の理由でお祈りが必要であれば、お祈りができる部屋のご用意をしたり、社内での食事会の開催があれば、事前アンケートにより皆様が公平に食事できるように裏方として準備をしております。このように、なるべく個人の権利や人格が尊重される取り組みを行っております。
Qビズメイツ株式会社様のワークライフバランスに関しては如何でしょうか。
A佐藤様:有給消化率は80%を超えており、残業に関しても全社平均で15時間前後ですので、オンとオフでメリハリをつけて働けている印象をもっています。労働時間担保型ではなく、各社員は担当業務のプロフェッショナルとして生産性の高い働き方を実践する事を期待しています。また、ワークライフバランスで言いますと、出産・育児時にはリモートワークを活用して継続して働く従業員も多いので、制ライフステージに合わせた柔軟な働き方が可能となっています。
Q 障害者雇用に関してですが、具体的にどういった部署で、どのようなお仕事をなされてご活躍されておりますでしょうか。
A 本間様:例えば、人事総務グループにて人事総務アシスタントとして、ご活躍いただいております。既に入社してから数年経ち、障害者雇用という枠を超えて能動的に働いていただいておりますので、今では欠かせない存在です。幸いにも長期雇用が実現できているのは、ご本人の障害特性、現状の業務遂行レベルの判断、体力に合わせた業務アサインなど、細部にまで気をつけた雇用管理が成果に表れているのかもしれません。もちろん、それ以外の部分については一般社員と同様の雇用管理をおこなっております。
Q通常の面接と比べて障害者採用の面接で細かく確認していくところは、どんなところでしょうか。
A佐藤様:結論から言うと、障害受容レベルを細かくアセスメントしております。
*障害受容とは・・・「喪失」「拒絶」「闘争」「協調」「受容」の5段階で表わされます。<引用:ニューロリワーク>
障害者雇用の場合、どんなに能力が高い方や優秀なご経歴の方でも、障害受容が低い場合、安定して働くことは困難です。逆に障害受容ができていれば、少々のスキル不足や経験不足などは補えると考えております。目に見えない部分で難しいですが、就労の下支えになる重要な要素なため、慎重に見極めをしながらミスマッチを防止しております。
Q障害者雇用で入社した方が長期就業を実現するためには、どういったことが必要になってくるのでしょうか。読者の皆様へ人事目線でアドバイスを頂けると幸いです。
A佐藤様:まずストレスを溜め込まないために早め早めに問題を発信することが重要だと考えています。長年、障害者手帳を取得されている方の傾向を見ると、真摯で、生真面目な方が多い印象です。誰よりも一生懸命がんばって、ひたむきに生きてきた結果、その反動として心身の不調を招いてしまったのかもしれません。
同じことを繰り返さないためにも、不調を感じた時こそ、大胆に休む勇気を持つことが大切です。内面の変化に敏感であることが、長期就労を続けるうえで、重要な要素だと思います。
Q前提、働くことに制限のある方々の個人努力や創意工夫も必要になってきますが、一方で職場の理解や適切な支援という両輪があってこそ、はじめて安定就労が実現されるのではないかという認識ですが、この辺りは如何でしょうか。
A佐藤様:はい、その認識と合致しております。障害者雇用をはじめ、働くことに制限のある方々が活躍するには、個人の努力も必要ですが、働く環境の整備も必要です。当社の場合、日々の勤怠状況の不調からのエラー発見は勿論のこと、毎月のパルスサーベイによる予兆の早期発見などに努めています。体調不良者には、できるだけ早めに産業医との面談を受けていただき、未然に重大な健康問題の発生を防いでおります。
とは言え、デジタルでは伝わらない従業員の表情、声のトーン、実際に抱える問題の重さなど、微細な感情を含めた正確な状況理解をするため、定期的に事業部の責任者の面談を実施し、鮮度の高い従業員の情報交換を行うことで、より健全な職場環境を目指しております。
Q上記に紐づく質問ですが、障害や疾病のある方だけでなく、子育て中の方やや親の介護で働くことに制限のある方に対してビズメイツ株式会社様としては、どのような具体的な制度や取り組みをなさっておりますでしょうか。
A本間様:代表的なものは、短時間勤務への変更です。ノーワーク・ノーペイの原則に基づき、時間数に応じた給与となりますが、それ以外の福利厚生などの条件は変わらず、また迅速に時短勤務への変更が可能なところが強みです。
基本的に出社型勤務を導入していますが、個別性の高い事案に関しては、これまで築き上げてきたキャリアを維持、向上できるように在宅勤務への切り替えも行えます。ご状況が落ち着いたり、好転してきた場合は、フルタイム勤務や出社型勤務へ変更することもクイックに可能です。長い職業生活の中で、予期せぬことが起こってしまうことは常ですが、その都度キャリアを諦めないでいいように制度設計をしております。
Q日々成長中のビズメイツ株式会社様にておいて、現在の人事の課題や今後人事として皆様が実現していきたいことがあれば、差し支えない範囲でご教示頂けないでしょうか。
A佐藤様:そうですね、社会に前向きなインパクトを与えられる人材を輩出できる企業を目指しております。そのためには、社内ポストの増加、新規事業の成長加速、そして社員が成長実感を得られる環境を積極的に人事側で作っていくことが責務だと感じております。その過程で私自身が老害にならないように(笑)常に自分自身をさまざまな角度から疑い続けることを怠らないようにしております。
本間様:私は、人的資本経営を進めていきたいです。シンプルに従業員満足度が高い企業は、業績だけでなく定着率も上昇する傾向がありますので、その効果を科学的に数値で示しながら、経営層の理解と賛同を得ていきたいと考えております。具体的には、人的資本経営の効果を証明するため、社員の研修受講前後のパフォーマンスデータ、退職率、社員満足度データなどを収集、分析して、社員が企業のかけがえのない資産であるという共通認識を高めていきたいと考えております。
Qお話しが変わりますが、皆様のプライベートな部分を少々お聞かせ願いたのですが、お休みの日は、どういったことをなさってリフレッシュされておりますか。
A佐藤様:よく週末にサッカー観戦に行き、ゴール裏で大きな声を出して応援しています(笑)それ以外にもクロスバイク(自転車)で好きなところへ出かけたり、体を動かすことが多いですね。普段はデスクワークがメインなので、体を動かすことでリフレッシュして、翌週のお仕事に備えています。
本間様:私はよく海外旅行に行ってリフレッシュしています。ちなみに今朝、タイから帰国したばかりで、その足で出社後、このインタビューを受けています(笑)。海外旅行はビーチリゾートから街歩き、歴史観光まで幅広く楽しんでいます。海外旅行は、心身のリフレッシュだけでなく、新しい視点や考えを生み出す、心理的なリフレーミングにもつながるので仕事にも意外と役立ってます。
Q最後に、これから障害者採用にチャレンジしようとしている方々へメッセージを頂けたら幸いです。
A 佐藤様:確かに障害者手帳取得後は、制約が増え、ネガティブな気持ちに包まれてしまうことも理解できます。しかし、障害者手帳を持っていても本当にご自身がやりたいことを追求してみて下さい。最初は不慣れでも少しずつ手探りで好きなこと、興味があることを手元に引き寄せていきましょう。
また障害者雇用は、企業ごとに採用方針や求める人材像が大きく違ってきますので、もしうまくいかなくても落ち込む必要はございません。あなたに合った、そしてあなたを必要としてくれる企業は存在しておりますので、諦めないで活動を続けていくことが重要なことです。皆様のご活躍を心から応援しております。
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