やはり精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方の就職は不利なのか | 障害者転職エージェント ハッピー


やはり精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方の就職は不利なのか

こんにちは。
障害者専門のエージェント、ハッピーの山口です。

今回は、【やはり精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方の就職は不利なのか】というお題です。

結論としては、「特別有利ではないですが、不利でもない」というのが回答になります。このような歯切れが悪くて申し訳ございません。ただ、これが真実です。正直なところ、皆様はご存知だと思われますが、20代、30代の身体に障害がある方は、売り手市場の先頭を行く方々として優位な立場です。企業様によっては、40代、50代の方でも精神の方ではなく、身体の方を優先して採用している企業もございます。一方で、毎年身体の方は減少傾向にあり、精神に障害がある方の就職件数の伸びが急上昇しているのもマーケットの真の姿です。

具体的には、令和5年のデータでは民間企業(43.5人以上規模の企業:法定雇用率2.3%)に雇用されている障害のある方の人数は合計642,178人で、内訳は、身体障害者は360,157人(対前年比0.7%増)、知的障害者は 151,722人(同3.6%増)、気になる精神障害者は130,298人(同18.7%増)と、いずれも前年より増加し、特に精神に障害のある方の伸び率が非常に大きいのが特徴です。ちなみに、特例子会社で働く障害をお持ちの方は、46,848人で全体の約10%にも満たない数字ということは意外と知られていないです。

参考までに、特例子会社での雇用者内訳は、身体障害者が12,134人(前年比11,835人)、知的障害者は24,062人(前年比22,941人)、精神障害者は10,652人(前年9,080人)となっております。

【出典】令和5年 障害者雇用状況の集計結果(厚生労働省)

さて、このような背景があるため、弊社のような民間の障害者専門エージェントの売上という観点でも精神の方をメインターゲットとしてご支援していかないと事業継続が立ち行かなくなってしまうことから、各社が、新規での精神に障害がある方向けの求人開拓に躍起になっているのが現状です。このように、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方の雇用なくしては、既に障害者雇用の成功ができない時代に突入しているのです。

ただ、上記の数字をご覧になっていただくと、身体に比べて精神の方が働いている総数が少ないこと、依然として身体に障害のある方のほうが、企業側の採用ニーズとして高いことが背景にあり、これらを踏まえると、精神の手帳をお持ちの方の突破口としては、ずばり精神の方へフレンドリーな雇用実績がある企業様へスナイパーのごとく、ピンポイントで応募することを推奨させていただきます。量ではなく、質を重視した動きですね。

では、「どのようにしたら過去の実績がわかるのか?」ということになりますと、シンプルに担当キャリアアドバイザーやハローワークの担当者に聞いていただくことが一番です。それ以外にも、求人票に過去の雇用実績が記載されている場合もございます。ここだけの話ですが、キャリアアドバイザーやハローワークのご担当者を立てながらお伺いをすれば、先方も支援することが目的ですのでそこまで回答が難しい質問ではございません。なお、大手の人材紹介会社は身体と精神でチームが分かれておりますので、求人選定時は精神の方を積極的に受け入れている求人を中心に紹介することになっておりますので、ご安心ください。

このように精神の方は、兎にも角にも盲目的に行動量や根性論で活動することはやめましょう。身体の方と比べると少ない求人へ人海戦術のみに頼った動きをして、せっかく就職活動までできるほど回復していたのに再び体調不良になってしまった求職者を多く見てきました。

ですから、ポイントとしては精神の雇用実績の有無の確認、もしくは過去の実績が無くても前向きにご検討をいただける企業であるかどうかを確認しながら応募することが内定取得には必須です。また、長い転職活動における心身のエネルギーの消耗防止策としてもぜひ覚えておいていただきたいことです。

なお、一部で勘違いされている方がいらっしゃるかもしれませんが、企業側が受け入れ可能な障害と受け入れ困難な障害とを区別する(即ち採用と不採用の基準を設ける)ことは、それ自体が違法というわけではございません。企業側にも障害に応じた業務のご用意が難しいときがあったり、雇用管理ノウハウ不足もあったりしますので、ある程度、企業側にも選択の余地はあることは忘れないようにお願いします。

長々と綴りましたが、【やはり精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方の就職は不利なのか】という問いに関しては、「精神に障害のある方の雇用実績がある企業様へ厳選応募する」ということが回答になります。ぜひ、就職活動を有利な状況に導いていく一手として活かしていってください。

それでは本日も、「できることをできる範囲」で「ぼちぼち」やっていきましょう。