障害者雇用で入社後、一般雇用へ切り替えて会社に残れるのか? | 障害者転職エージェント ハッピー


障害者雇用で入社後、一般雇用へ切り替えて会社に残れるのか?


こんにちは。
障害者転職エージェントハッピーの山口です。

今回は、【障害者雇用で入社後、一般雇用へ切り替えて会社に残れるのか?】という、もはや都市伝説的な疑問にハッピーが切り込ませていただきます。今回のトピックは、先天性の障害をお持ちの方や重い身体の障害をお持ちの方には想像しづらいところもかも知れませんが、比較的軽度の身体障害の方や精神障害の手帳をお持ちの方には気になる点です。にもかかわらず、この問いに対して世の中には明確な回答が出回っていないというのが現状です。

結論をいえば、障害者雇用で入社後に一般雇用へ切り替えても、会社に残ることはできます。また、手帳の所有は障害者にとっての揺るぎない権利ですので、一般雇用に切り替えたからといって後ろめたい気持ちになる必要もなく、会社側との法的な問題も起こりません。もっとも、一般雇用へ切り替える大きなデメリットとして、通院配慮を含む合理的配慮がすべて無くなってしまうという点に注意が必要です。配慮がなくなった上で部署異動が起こってしまう可能性などもありますので、この点にも留意しなければなりません。すなわち、障害を配慮した上での配属決定だった可能性も考えられます。

さて皆様は、この両立できない関係性を聞いていかがお考えでしょうか。

比較的軽度でアクティブな身体障害の当事者である私でさえ、すこぶる心身の調子が良いときでも障害者雇用から一般雇用への切り替えは二の足を踏んでしまうというのが本音です。また、私個人の感情論になってしまいますが、障害者雇用で入社させていただき、微力ながらも所属企業の障害者雇用率の充足にお役立ちさせていただいてきた背景を考えると、どうしても障害者雇用から一般雇用へ切り替えたいという強い気持ちには至りません。とはいえ、「障害者手帳を手放して働いていきたい」と考えることはごく自然なことで、特に年単位の就業を実現させて業務習熟度が上がってくれば、このような気持ちが芽生えてくるものです。

一方で、深呼吸しながら過去を振り返れば、障害者雇用として守られた環境で働いてきたからこそ、一般雇用への切り替えを考えられるところまで到達できたことも事実といえます。私個人としては、ご自身の強い覚悟さえあれば一般雇用へ切り替えて働くことは問題ないと思いますが、もう少し長い期間で「働く」というものを考えていくと、障害者雇用の方がより安定した職業人生になっていく気もします。なぜなら、一般雇用の場合は、障害者にとって大きな心配事のひとつである「再び体調を崩してしまったときのセーフティーネット」、すなわち障害者雇用枠での就業というものが既に無くなってしまっているために、ご自身の社内での立場がより厳しくなってしまうからです。

言葉を選ばずにお伝えすると、結果的に自身の首を自分で締めることになってしまう可能性が考えられます。そうなってしまったら、せっかく障害者雇用で入社して頑張ってきた実績が一瞬で崩れ去ってしまうことにもなりかねません。「悲観的な考え」ともいえますが、健康と同様に、キャリアも失ってからでは取り戻せないこともありますので、慎重にご判断いただければと考えています。

そもそも障害者手帳は、不可逆的な病を患った場合や、障害を負ってしまった場合に取得できるものです。そのため、手帳取得前の自分に戻りたい気持ちが強まったときは、働けるまで回復した自分を褒めてあげること、そして安定して働いていくためには何がベストなのかを目を閉じて考えることで、自ずと正しい選択肢が浮かんでくるはずです。

最後に、障害者手帳をお持ちの方だけでなく、すべての人は生老病死を避けられません。
人は必ず歳を取り、病む存在です。障害者手帳を取得するほど心身のダメージがあったあなたが働けるまで回復できた事実ほど「尊い」ことはありません。また、私も同じ身体障害当事者として、これ以上皆様に傷ついてはほしくないという気持ちもあります。

長々と綴りましたが、今回のトピックである【障害者雇用で入社後、一般雇用へ切り替えて会社に残れるのか?】という問いに関しては、「一般雇用に切り替えても会社には残れる。ただし、慎重に判断することが大切」ということが回答になります。

それでは本日も、「できることをできる範囲」で「ぼちぼち」やっていきましょう。