農園ビジネスが賛否両論な理由 | 障害者転職エージェント ハッピー


農園ビジネスが賛否両論な理由


こんにちは、障害者転職エージェントハッピーの山口です。

今回のお題は、【農園ビジネスが賛否両論な理由】です。
企業の障害者雇用率の安定的な充足を実現する手段として、昨今では障害者雇用代行ビジネスが盛況です。代表するもののひとつとして、農園型の雇用代行ビジネスの拡大が注目されております。これは、雇用管理者のもとで障害がある方、特に知的障害のある方や精神障害のある方を中心に農作業に従事いただくというビジネスモデルです。定期的に雇用元の人事担当者が農園に赴くこともありますが、基本的には遠隔地での雇用となります。メリットとしては、企業側の障害者雇用の工数や負荷を大幅に軽減させる点などが挙げられます。

このようなビジネスモデルゆえに、障害者雇用を自社内で行うことが難しい企業や障害者の受け入れのノウハウがない企業を中心に、年々上昇する障害者雇用率に対する解決策として注目されています。

農園ビジネスに関しては、国会で問題が提起されるほど議論の的になっているという側面もあります。その理由としては、「形式的には企業での勤務であるにもかかわらず、実際の勤務地は農園」であることから、本業とは離れた就労スタイルによって雇用率の増加自体を目的としてしまっているという点が挙げられます。

また、採用された障害者は既存の社員との接点がないことや、農園ビジネスに事業としての収益性がないことも課題といわれています。そういった意味では、標準的な障害者雇用を行っている企業の視点からみると、農園型の雇用代行ビジネスは「お金で解決している」というイメージを持たれてしまうことは致し方ないことかもしれません。

そんな中、障害当事者である私、山口が最も危惧していることは、「障害者雇用=農作業」という固定観念が世の中に浸透してしまうということです。今後、さらに多くの企業が農園ビジネスによって障害者雇用を促進することで、事務職やその他の職種での障害者雇用という選択肢が社会から減少し、障害にかかわらず、職業選択の自由が奪われていってしまう可能性があります。この流れは、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)から逆行しているといわざるをえません。

こうした負の側面を除けば、農園ビジネスは、毎年のように上昇している民間企業に課せられた障害者の法定雇用率を達成する手段のひとつとして、効果的な方法だと考えております。また農園での就業を希望している障害のある方々が沢山いらっしゃる事実があるからこそ、現在の「農園型ビジネス」が伸びていると考えることもできます。

最後に、私たちハッピーは障害者専門のエージェントですので、今後も一意専心のもと事務職を目指す障害のある方を中心に、謙虚な姿勢で人材紹介事業を運営しながら、将来的にはハッピーだからこそ提供できる新たな障害者雇用サービスを提供していくことができればと考えております。そのためにも、まずは目の前のひとりひとりのご支援をより丁寧に、そしてより価値あるものに高めていけるように邁進していく所存です。

それでは本日も、「できることをできる範囲」で「ぼちぼち」やっていきましょう。