A:障害者雇用率制度とは、民間企業、国、地方公共団体は、障害者雇用率に相当する人数以上の障害者を雇用しなければならない制度の名称になります。
その歴史は古く、障害者雇用促進法の前身である身体障害者雇用促進法が制定された1960年に、企業、国、地方自治体の努力義務として施行。1976年の法改正により法的義務となり、その際に障害者雇用率は1.5%と定められました。
以後、何度か法改正が行われ、1988年には1.6%、1998年には1.8%、2013年に2.0%、2018年4月に2.2%、2021年3月からは2.3%へと時代と共に上昇。
2021年3月以降からの事業主別の障害者雇用率は下記のようになっております。
民間企業…2.3%
国、地方公共団体等…2.6%
都道府県等の教育委員会…2.5%
A:提出対象企業は、従業員43.5人以上の事業主になります。(2023年2月1日現在)
障害者雇用促進法43条第7項のもと毎年報告時期になりますと、従業員43.5人以上規模の事業所へ報告用紙が送付されて、必要事項を記載のうえ同年7月15日までに本社所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)まで報告することが義務となっております。
A:障害者雇用状況報告書は、毎年6月1日現在の障害者雇用状況を7月15日までに公共職業安定所(ハローワーク)に提出しなければなりません。
障害者雇用状況報告書提出の目的は、企業に課せられた法定雇用率の達成状況を確認することになります。尚、従業員20人以上の事業所には、高年齢者雇用状況報告の提出も本社所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)まで報告することが義務づけられております。
A:「障害者雇用促進法」で定められた「障害者雇用率(法定雇用率)」未達成の事業主に課せられる徴収金のことを言います。
障害者の雇用に関する事業主の社会連帯責任の円滑な実現を図る為、雇用に伴う経済的負担の調整と雇用促進を図るために定められた制度です。事業主の法定雇用率の不足数に応じて1人につき月額50,000円の「障害者雇用納付金」を納付しなければならないことになっております。尚、対象期間1年間のうち、常用雇用労働者数100人超と計算される月が5ヵ月以上の企業に納付義務が発生します。
A:障害者の雇用義務を履行しない事業主には、公共職業安定所(ハローワーク)を通じて次のような行政指導が行われる可能性がございます。
⑴ 雇入れ計画作成命令
翌年の1月を始期として2年間で障害者を雇用するための計画を作成して提出するように、公共職業安定所(ハローワーク)の所長から命令を出されます。この計画に基づいてハローワークから定期的に指導が実施されます。尚、雇入れ計画作成命令が出される基準としては、以下のいずれかに該当する場合と厚生労働省から基準例が示されています。
<指導基準例>
・不足数が10人以上であること。
・実雇用率が前年の全国平均実雇用率未満、かつ不足数が5人以上であること。
・法定雇用障害者数が3人または4人であり、雇用障害者数が0人であること。
・法定雇用障害者数が1人または2人であり、雇用障害者数が0人であること。
※指導基準に関しては、業種や従業員数によって変わりますので、お手数ですが、障害者転職エージェントハッピー迄、お問い合わせ下さい。
⑵ 雇入れ計画の適正実施勧告
計画初年度の12月に実施状況の改善が見られない企業に対しては、計画の適性実施勧告が実施されます。
<指導基準例>
計画の実施率が50%未満である。
計画開始後1年目の12月1日の実雇用率が計画開始前の6月1日時点を依然上回っていない状況。
⑶ 特別指導
障害者雇用の状況改善が特に遅れている企業には、計画期間終了後に9か月間、企業名公表を前提とした特別指導が行われます。当該フェーズになると企業名公表が現実味を帯びてきます。
<指導基準例>
・雇入れ計画作成命令に関わらず、不足数が依然10人以上である。
・計画期間終了時の実雇用率が、計画1年目の6月1日時点の全国平均実雇用率未満である。
・法定雇用障害者数が3人または4人の企業で、雇用障害者数が0人であること。
・法定雇用障害者数が1人または2人の企業で、雇用障害者数が0人であること。
⑷ 企業名の公表
段階を踏みながら最終的に障害者雇用の改善が見られないと判断されると企業名が厚生労働省から公表されます。また不足数が多い企業の社長や役員等に対しては、厚生労働省からの直接指導が実施されます。
A:企業名が公表された場合の予測される社内外への具体的な影響をご紹介します。
⑴ 企業の信用失墜
企業名の公表は厚生労働省のホームページに掲載されるため、障害者雇用が達成できていない企業として世間に大体的に広く知られることになります。障害者雇用は、法律(障害者雇用促進法43条第1項)で定められた義務であり、企業の社会的責任(CSR)や法令遵守という観点でも本来なら意識しなければなりません。また社名公表は、結果的に社外のレピュテーションリスクの低下にも繋がり、不買運動をはじめ取引先への信用失墜を招きます。
⑵ 採用ブランディングの低下
企業名を公表されることで、特にZ世などはじめ、20代〜30代を中心とした世代ではダイバーシティー、SDGs、ESGに興味、関心がある方が多く、応募しようと思っていた企業が障害者雇用の義務を履行せず、厚生労働省のホームページで公表されている事実を知った場合、応募を辞退する可能性が高まります。またインターネット上の各種口コミサイトへネガティブな書き込みが増える可能性もございます。
⑶ 社員のエンゲージメント低下
ダイバーシティーに興味、関心がある社員や自身の家族や親しい友人に障害者がいる場合、勤務先の会社が障害者雇用をしていない企業として社名公表されると、会社に対しての愛着心がなくなり、ワークモチベーションの低下や離職率の増加に繋がる可能性もございます。
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